「隙 間」

2006年12月26日(火) 「箱男」

阿部公房著「箱男」
を読んだ。
前述の、京極作品がヒントと言うのは、正直「箱」という言葉のみ。タイトル買いだね(苦笑)
ホラーでもミステリでもない。段ボール箱に身を潜めて街で生活する。ただ一方的に「見る」側の存在に身を置き、「見られる」側はその存在すら生理的に否定してしまうので、完全に社会とは切り離された存在となる。
だけどやがて、「見る」「見られる」という関係が互いを干渉しあい、立場を入れ替えてゆくことになっていったりする。
「見る」という快感。
「見られる」という快感。
そして、
「虚構」と「現実」の錯綜。
一度くらい誰もが試したこと感じたことがあると思う。
例えば、バケツを頭からかぶってみたり、帽子で顔の前を覆ってみたり、そんなときの隙間から覗き見えるいつも通りのはずの風景が、いつもとは違って見えて、少なからず胸が高鳴った感覚を味わってしまったことが。
官能的なイメージは、この作品に期待してはならない。
むしろ、確信的に社会と個人の結びつきに対する不確かさを説いている、と思うべき作品だ。
「見る」ものがいれば「見られる」ものもいる。
両者の視点は、常に必要なものとして身につけておかねばならない……。


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