「隙 間」

2007年09月21日(金) わたしの切れ端

 さて……。

 先日、今日が昨日に、明日が今日になるときを見計らって、「断ベルト式」を行った。

 厳かに。

 穴ひとつぶん、のところにはさみをいれ、

「さらば」

 と、指に力をいれた。
 文具用の普通のはさみだったので根元のほうに深く挟んだせいか、

 シャリ、シャリリリ……バツンッ

 と、ざらついた気持ちをわざと胸の奥に残すような音だった。
 ぶつん、と床の絨毯の上に転がり落ちた切れ端が、なんだかとてもわたしの目を引きつけて、すぐにでもその切れ端をごみ箱に放り込まなければならないような気持ちにかられた。
 ごみ箱、というところに放り込まなければならないのが、とてもせつなく、とてもそうすべきことのように思われた。

 焼きゴテで焦がしてしまったように、そして目を離したら物陰にささっと逃げ去ってしまう生き物のように、黒い切れ端は絨毯の上に転がっていた。
質量を感じさせないその黒いものに向かって、目をそらさずに、そっと指を伸ばす。
 触れようとした瞬間、その刹那に消すことのできない黒い染みに変わってしまうか、捕まえることなど到底できない素早さで逃げ去ってしまう生き物になってしまうかと不安になり、思わずためらってしまった。
 引っ込める先など考えていなかった指先は、ためらいを振り払うように勢いをつけてふたたび伸びはじめる。

 あっけないくらいに、わたしの切れ端はごみ箱の中へ放り込まれ、丸めたちり紙やコンビニのビニル袋の隙間に落ちていった。

 ざらつきだけが、名残惜しげに胸の奥に残っていた……。


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