桐野夏生著「柔らかな頬」(上)(下)
直木賞受賞作品でした。
うむむ……。 消化不良、です。
不倫相手と、
「子どもも、全て捨ててかまわない」
そう思ったカスミ。
うん。 そう思わない限りは、不倫なんてものを本気でしてるとは言えないよね。
全てを捨てるか。 全てを奪うか。
そうでないものは、ただのお遊び。 愛してる、だの、安らぐ、だの、千の言葉を並べ立てたって、信じられやあしない。
密会(?)の翌朝、愛娘が行方不明になる。
娘がみつかることがないまま、物語は終わる。
不倫相手の男は、行方不明になった娘のことを気にかけこそすれ、罪悪感を自らの内にのみ抱え、カスミとは別の世界の住人として生きてゆく。
男なんて、戻れるところがあってこそ、そんなことができる生き物なのだろうし。
行方不明の捜索に、ガンによって余命わずかの元刑事の内海が、残された時間の使い道としてカスミに同行する。
やがて死んでゆくからこそ、安らぎを覚える。
カスミは内海に対してそう感じる。 しかし、やがて死んでゆく内海に対して、カスミ自身は娘を失い、また家族も捨て、そしてただ独り、残された人生を生きてゆかなければならないことに、嫉妬を覚えもする。
居場所を失った者の孤独。 自業自得、自らが選んだこと、とはいえ……。
……。
そんな、救いようもない絶望、ならば、小川洋子作品のほうが、わたしは好きです。
過程は、桐野作品のほうが濃ゆいかもしれないけれど、圧倒的な存在感としては、足りない印象でした。
まあ、この作品以後(?)の桐野作品は、嫌いじゃないですが……汗
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