「隙 間」

2011年03月31日(木) ひとりで伝えようとするばかりのそれだけの日々じゃない。

ああ、木曜だから大森にゆこう。

と思っていた。

それなら七時過ぎにここを出なければ、と時計をみると、はや七時半になろうとしていたのである。

薬の残量は、五日分ほど、まだあったはず。だから週が明けてからもらいにゆこう。
だから週末は、飲まずに過ごせたらいい。
それは無理か。

しかし、仕事が残っている。

それを残したままだと明日が辛くなる。

八時半を回った。
そのとき、携帯電話が鳴った。

「もしもし、竹さんですか」

なんと電話はイ氏からだった。

「来なくて大丈夫だったの?」

ほら、もうなくなる頃だし、地震があったし。

「何かあったのかと、思ったよ」

イ氏はわたしひとりだけをしか診ていないわけではない。

それを。

気に掛け心配し、わざわざ電話してきてくれる。
そんなイ氏は、父と同じくらいの年齢ではあるが、ありがたい。

じん、とさせられてしまった。
不意討ちだった。

気に掛けられるというのは、やはり、嬉しい。

「週明けに、伺わせていただきますから」

ああそう、大丈夫なのね? それじゃあ。
それじゃあ。

前回の大森から三週間が過ぎ、二週間分と残りも尽きる頃。
忙しいことを理由に、それを改善する意思より先に薬に頼ろうと甘えかけたところを、ぴしゃりと叱られた後であった。

だからきっと、またすぐ、今ごろ不足して無理してるんじゃあないかという心配をしたからなのかもしれない。

残量は毎回申告し、きちんと管理するよう義務付けられているから、イ氏にもだいたいわかるようになっているのである。

モディが尽きれば、残るは緊急時、やむないとき用に頂いてあるリタ錠しかない。
それがいやだから他のはないか、だのと言ったわたしが、前回の発端にもなっている。

無理して飲まずにいる方を、そうでないならその負担を、イ氏は慮ってくれたのである。

とかく最近は、余裕がない。

だからこそ、投げなくとも向こうから投げてきてくれる。
しかも、投げ返しやすい右肩のあたりに球をくれるキャッチボールの心地よさを、思い出させられる。

大事なとこでの悪送球に定評があるわたしだったのだが、それは忘れることにしよう。

腹から、声を出したくなる。

「おぉ〜っぜいっ!」

と。


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