「隙 間」

2011年07月14日(木) 大森で粗忽な肋骨

それでいいと思うならそれでいい。
それがいいと思うならそれがいい。
それは限りなくやさしく、限りなくきびしい。
そしてわたしは、そこからうごけなくなる。



少し前のお話ですが日曜の夕に、古墳氏から画像が送られてきました。
題名は、

「明日からこれで出勤します」

画像を開いてみると、黄金の聖衣(クロス)が!

なんて素敵な格好なのでしょうか。思わず、

「超COOL!!ビズですね!」

と返してしまいました。
秋葉原駅外部一階の連絡通路に展示されていたのを古墳氏が発見して、わたしに知らせずにはいられなかったとのことでした。

世代がまったく同じなので、観ていたアニメや漫画の話題は通じないことがありません。

「腹立ちますよね。怒りゲンドウ、ですよ」
「……ぬるいな」

とか、

「先に帰ります。ごめんなさい、僕には帰れる場所があるんです」
「三、二、一……とか数えんよ」

エヴァやガンダム等のセリフでやり取りができたり、「あばれはっちゃく」は「逆立ち」派か「ブリッジ」派かとか、「ナイトライダー」派か「エアーウルフ」派かとか。

定時を過ぎるとそんな楽しい会話の時間が始まったりするのです。
いい年した大の男たちが、いったい何を話しているのでしょうか。完全にアヤシイ光景です。

さて大森です。
実は先週半ばから腹部に疼痛が続いています。はじめは右側肋骨の裏側がジリジリと痛み、週末をまたいだら左側にそれが移動して居着いてしまったのです。

胆嚢? 胃? すい臓?
運動した覚えがないので、原因は内臓を思い浮かべてしまいます。傷んだものを食べたわけでもなく便は普通。
うむむ、とイ氏に訊いてみたのです。

じゃあ、診てみようか、と診察ベッドがある別室へ。

「はい靴脱いで寝て、お腹出して」

わたしは躊躇ってしまいました。
ベッド脇にはカルテをギュッと両手で抱き締めている田丸さんがおずおずと付き添ってくれていました。
靴下は履き込んで親指のあたりが薄くなったヤツを履いてきてしまっていなかったか、頭の中で今朝起床したところから再生し直します。

大丈夫、と靴を脱いで仰向けに寝たところで、はたとまた停止しました。
あられもないお腹を出さなければならないのです。うら若き女子である田丸さんの前で。えい、そこまでポッコリにはなっていないし彼女も看護師だから、と意を決してさらけ出しました。

イ氏が触診を始めると、「外すよ」と言うなりわたしのベルトをカチャカチャと外しはじめたのです。

ああ、ああ。

恥ずかしくなるようなみっともない下着を履いてきていなかったか、今朝シャワーから出て着替えはじめたところから再生し直します。しかし巻き戻しが追い付きませんでした。

ぐっ、ぐっ、とイ氏はすでに下腹部や腿の付け根あたりを診はじめていました。
田丸さんは、すすす、と後退って気を遣ってくれていました。素敵な方です。

どうやら、内臓ではなく肋骨そのものの傷みではないかということでした。
内科医ではありませんがイ氏の言うことに思い当たるふしがありました。

運動は誓ってしていません。
ですが先々週、先週末と、必ず床に座りベッドに寄り掛かった状態からそのままのけ反った姿勢で、気付くと寝てしまっていました。

両手を大きく広げて。

豪快な格好です。
きっとそれで肋骨を傷めてしまったのだろうと思います。

カチャカチャとベルトを鳴らしながら身繕いする姿はあまり格好よい姿ではなく、イ氏が先に元の部屋に戻ってしまったので、靴べらを持った田丸さんとふたりきりです。
なぜか焦って手元が落ち着かず、しかもいつもよりひとつきつめの穴を通して締めてしまいました。
むぎゅう、と鳴いても緩め直す余裕はなく、そそくさと靴べらを受け取ります。

男ってヤツは、といったところでしょうか。
もちろん、独りよがりな心配事にしか過ぎません。

わたしの後にもうおひとかたいらっしゃっていたので、あれやこれやとお話する時間がなくて残念でした。

大森駅に向かうわずか五分たらずの間ですが、腹筋くらいは多少鍛えようかと思いました。
その前に、しっかり肋骨の補強をしなくてはなりません。

だけどすっかり安心です。
もしかすると食事を自重しなければならなくなるかと、腹はらしていました。

今週末は、絶対に負けられない闘いが、そこにはあるのです。

友よ、わたしは腹ミをく食って待っています。

動かなければけして景色も変わらない。
流れるだけの景色は与えられたもので、
みたい景色があるならば自ら一歩でも動いてみるべき。

その先にある景色が望んだものとは限らなくても。
その足で選んだ景色だと決して悔やんだりしない明日を。


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