2011年08月27日(土) |
「津軽百年食堂」と夏の夜に散る美しさ |
「津軽百年食堂」
をギンレイにて。
弘前に三代に渡って続く津軽そばの店「大森食堂」は、四代目が店を継げば、百年続く「百年食堂」と称し観光でも紹介されるようになれる。
しかし三代目の父は継がせようとはしなかった。
「こんなちっちぇえ街や店じゃなく、世界をみてみてぇ、つって東京の大学さいったんだろが。 俺もその気持ちはよおくわかってる」
四代目になる息子の陽一は東京でバルーンアートのバイトで暮らしていた。 やがてカメラマンのアシスタントをしながら自身もカメラマンを目指している七海と出会う。
ふたりは同じ弘前出身とわかり、距離を縮めてゆく。
そんなとき、陽一の父が怪我をして入院してしまう。
入院中は店を閉めざるをえず、祖母は陽一に「帰ってきて店を手伝ってくれ」と頼む。
時代は遡り、初代の謙一は屋台で津軽そばをいた。 手伝ってもらっているトヨになかなか思いを告げられず、トヨは夫を戦争で亡くし、幼い娘を連れた身だからと、謙一の言葉を避け続けてきた。
この幼い娘が、陽一の祖母だった。
祖母の店を残したい思いと。 陽一の店を継ぎたい思いと。
陽一をあたたかく待っててくれた地元の友人たち。 七海は自分の夢に向かって真っ直ぐ歩いている。
陽一の気持ちは決まっていたが、父が受け入れてくれずにいた。
陽一は、父が店に出られるまでの間だけとりあえず弘前に戻る。 「さくら祭り」の直前で出店を諦めていた家族に、「店を出そう」と言い出す。
東京に「帰る」んじゃない。 帰るところは「この街」なんだから。
主演が、初代・謙一を中田敦彦、四代目・陽一を藤森慎吾、オリエンタルラジオの二人がつとめている。
「キミきゃわいいぃ〜ねぇ〜♪」などとチャラ男キャラで目下売り出し中の藤森だが、そのイメージを覆す演技をしている。
現代の明日に揺れながら今日を暮らす普通の若者を、きちんと演じているのである。
また、クイズ番組などでも活躍する中田敦彦も、真面目で気弱で不器用な謙一の役柄を見事に演じている。
物語にドキリとするようなメリハリこそないが、だからこそ逆に、身近にある故郷や人々とのあたたかさを際立たせている。
もしもどこかでこの作品を見かけたら、手にとって観てみて欲しい作品である。
旅のところから少し慣れない書き方をしていたので、まだ違和感が残っている。
その痕跡が、予測変換の頭の方に間抜けな顔文字が羅列表示されているところである。
……正直、邪魔くさい。
いや、やっているときは、それでいてなかなか熱心に、ブチブチと次候補ボタンをしこたま押しまくっていたのである。
しかし。
あまりにも速く連打しすぎて処理が追い付かず、保存されないまま落ちてしまうことが何度もあったのである。
そうなれば、意地である。
絶対にやめられない戦いが、そこにはあったのである。
お茶の水駅の聖橋から、隅田川の花火が、綺麗に見えた。
「た〜まやぁ〜」
面白いから、上野駅の公園口の連絡橋までゆくと、そこからも、見えたのである。
「か〜ぎやぁ〜」
なかなか、面白い。
鶯谷駅の南口陸橋からも、ビル同士の限られた空間にだが、見えた。
「……は〜まやぁ〜」
「浜屋」などという掛け声は、出鱈目である。
人混みにペッチャンコにされながら大輪を見上げるのもよいが、こちらもなかなかよい。
大輪の華は、夏の夜に散る様こそが、美しい。
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