2011年11月21日(月) |
「水曜日のエミリア」 |
「水曜日のエミリア」
をギンレイにて。 ナタリー・ポートマン主演。
弁護士として働いていたエミリアは、既婚者である上司のジャックと略奪婚したものの、彼の息子ウィリアムは心を開いてくれず、さらにジャックとの生まれたばかりの娘を、突然死で失ってしまっていた。
前妻のキャロリンはウィリアムのことで細かく口を出し、うるさいほどにエミリアはプレッシャーを感じさせられていた。
アレルギーがあるから、アイスクリームはだめだ。
しかし、「秘密を共有」することで親密になれる、更に、パウダーをかければ大丈夫、と、夫にも内緒でアイスクリームを一緒に食べさせてしまう。
その後に訪れた親戚のホームパーティーで、ウィリアムはお腹をくだしてもらしてしまう。
やっぱりアイスクリームなんか食べさせるからだ。
前妻キャロリンから責められるのはまだいい。 ウィリアムとの信頼を裏切ってしまったことの方が何百倍も辛かった。
「お前なんか最低だ。近寄るな」
せっかく、近づけたと思った矢先だった。
しかし、お腹をくだしたのはアイスクリームが原因ではなかったとわかる。 パーティーで食べたパイが悪く、他の子たちも帰ってから具合が悪くなっていた。
授業中のウィリアムに、エミリアは教室まで入っていって伝える。
「アイスクリームじゃなかったの。パイがいけなかったの」
雑で男っぽい性格のエミリアにとって、ウィリアムとの絆を取り戻すために必死である。
部屋に処分しきれずにとっておいたベビー用品を、
「不要品」ならイー・ベイ(オークションサイト)で売ろうよ。 高く売れるんだからさ。 ベビーベッドにベビーカーに。
次々とエミリアに提案してゆくウィリアム。
ユダヤの教えだと、生まれても八日間たたないと人間じゃないんだって。 だから、僕は妹をなくしたんじゃないから悲しくないんだ。
そうエミリアにいうウィリアム。
それでも、家族になりたい。
エミリアの心はいっぱいいっぱいになっていた。
ひとの男を奪った女が、幸せになんかなれっこない。
周囲の目にも、負けたくなかった。
夫のジャックも、それなりにエミリアを信じ、フォローもしてきた。
しかし、決定的な亀裂が入ってしまう。
娘は突然死だった。 エミリアが自分のベッドで寝ながら授乳し、そのまま寝てしまい、目が覚めたら息をしていなかった。
「揺りかごに戻してから寝るんだぞ」
ジャックにわかってるからと答えていた。
「わたしがそのまま寝てしまって、窒息死させてしまったのよ」
検死結果は間違いなく突然死。 乳児には不幸にも起こりうること。 そのはずだった。
罪の意識を、ずっと抱えていたエミリア。
もう、すべて失ってしまう。
絶望のエミリアを救ったのは、キャロリンだった。
「娘さんの検死結果をみたわ。 友人の検死のスペシャリストにもみせて、話し合ったの」
キャロリンは名医として評判の産科医でもあった。
悲しいけれど、乳児の突然死はあることなのよ。たまたま、あなたが抱いて寝ているときに起こっただけ。 信じられないならその友人にも会わせましょうか?
「ひとりにさせてあげる」
キャロリンがエミリアの肩にやさしく手を置いて、部屋を出てゆく。 止めようもなく涙があふれだすエミリアだが、エミリアは夫の、ジャックの元へと向かう。
自分のせいではなかった。 許されるだろうか。 家族に戻れるだろうか。
エミリアの話を聞いたジャックだったが、しかし……。
ナタリー・ポートマン主演シリーズでの上映であった。
なんだこのクソガキめ、とウィリアムを見てしまう場面は多々ある。 じゃあ、父親のジャックはエミリアをフォローしてやらないのかというと、そうでもない。 前妻のキャロリンがエミリアを、ただただ夫を奪われた私怨を晴らそうとしつこいのかというと、さほどでもない。
最近の子どももそうだが、アレルギーが珍しくないご時世で、心配するにこしたことがないことを、キャロリンは医師だが母としてまっとうなことをエミリアに注意するようにしているだけである。
エミリアの気持ちもわかる。
軽く見てるわけではない。 ウィリアムも今は自分の子どもである。 ガチガチの融通がきかない、さらには頭でっかちの鼻持ちならない子どもに育てたくはない。
しかも、常に「ひとの旦那を寝盗った淫女は、幸せになんかなれるわけがない」という目で見られている。
そんなものに負けたくはない。 ちゃんと、幸せな家族を築いてやる。
「ブラック・スワン」との上映だったが、ナタリー演じるふたりのギャップが、凄い。
ナタリーといえば、ナタリー・コールだったわたしだが、これからはポートマンになるかもしれない。
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