「親愛なるきみへ」
をギンレイにて。
「きみに読む物語」と同じ原作者だったか、とにかく、じいんと、ひび割れたこころに潤いを与えてくれる作品であった。
米軍特殊部隊のジョンは、実家に帰省した。 そこでサヴァナと出会い、互いに恋に落ちる。
二週間しかないふたりの、これまでの人生で最も濃い時間。
任務に戻るジョンは、任期が終わったら除隊してサヴァナとずっと一緒にいる、と約束して任地へと向かう。
たった一年。
されど一年。
任地は情勢によって転々と移り、従って、ふたりは手紙で互いの気持ちを繋げてゆく。
任期が終わる頃、マンハッタンのビルに航空機が衝突させられる。
テロリストから我が国を守らなければならない。 それは、愛するサヴァナや家族や友人を守ることにも繋がってゆく。
任期の延長を、ジョンはサヴァナに話しもしないまま決めてしまう。
そして、ふたりを繋いでいた手紙が、次第にジョンの元に届かなくなる。
二ヶ月振りに届いたサヴァナからの手紙。
婚約しました。
なにがあったのか。 ジョンをただ待ちきれなかっただけではないはず。
戦地から離れるわけにゆかず、むしろ、サヴァナのことを忘れようと、任期の延長に延長を志願するジョン。
そして、唯一の家族だった父が倒れ、ジョン自身も銃撃され帰国することになる。
サヴァナとの再会。
サヴァナが語らなかった真実。
そして、お互いのどうしようもない本当の気持ちと、どうしようもない現実。
サヴァナ役のアマンダ・セイフライドが、とにかく、わたしのこころのヒダにピタリとはまりこんだ。
いや、そんな個人的な話は置いといて、やはり作品自体が、絶妙の距離感をもって織り成してゆく。
世界の警察を気取るアメリカに対する云々もさておき、ふたりの義務感と愛との間を往き来する心は、なかなか歯痒さを覚えさせてくれる。
自閉症の息子に、出ていってしまった母親のことを告げられずにいる父親。
そして自らの余命がガンによって宣告され、自閉症の息子をひとりきりにして残すわけにはゆかない父親。
それをすぐそばで、それまでもずっと見て力を貸してきた者。
まあ、ありきたりな話の流れといってしまえばそれまでだが、その組み立てと流れが、上手ぁくしんみりと染み渡ってくる作品となっている。
それはともかく、わたしはアマンダなる女優が、気に入ってしまった。
機会があれば、ほかの名作秀作でまたお目にかかりたい。
今週もまた、ギンレイに行かなければ部屋から出ずに過ぎ去ってしまうところであった。
危ない危ない。
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