「隙 間」

2012年03月06日(火) 或る阿呆の健診

先月受診した健康診断の結果が届いたのである。

危惧すべきこれ捨てろーる値だが、なんと、平均の上限値をほんのわずかだけ超えていたに過ぎなかったのである。

これはひとえに、ひと月前から石屋に薬をいただいて服用をしていたおかげである。

白血球の値が高かったのは、それはもう、当たり前である。

これで普通値におさまっていたら、疲れ知らずの超人か、ウドの大木、唐変木である。

「ミスター、健康診断の結果はどうだったの?」

読売ジャイアンツファンを自称するわたしに、根っからの阪神タイガースファンである虎子さんが聞いてきた。

「不健康を確かめる診断ですね」

これ捨てろーるの結果は薬によって落とした値なので、飲まなくなればまた異常値に戻る。
であるから自慢するものではない。

ところで。

ふと声をひそめ、虎子さんが続けてきた。

「どこか悪いところ、あるんですか?」
「ほえ?」

いや定期的に病院に行かれてるみたいだし、とこれまたいつもの「ああん? なにをほざいとんねや」口調とはうってかわった丁寧で真面目な様子である。

「いや、べつに言いづらいのならいいんですけど」

調子がくるう。

実は。
実は?

「水虫だったりは、しないので安心してください」

「どついたろか」

あなたが水虫だろうがまったく関係ないし。
社員旅行が万が一あったとしても、それはお風呂で男性の皆さまに注意、というかあなた自身がエチケットに関わることですから。

「どこまで続けたろか?」
「いえ、もう結構です」

ありがとうございました、と一礼する。

「で?」

ずい、と虎子さんが詰め寄ろうとする。
いつもならここで「あわわ」と引いて見せるのだが、受けてたとうとわたしはずいと前屈みに答える。

「墓場まで、持っていってくれますか?」

ここで、ゴクリとつばを飲んでコクコクと頷いてくれればよいのだが、

「それなら、メンドクサイからいいです」

あっさりと引き下がられてしまったのである。

メンドクサイとは、「墓場まで持っていく」のがメンドクサイのか、このケレン味たっぷりなわたしの見事な演出である話し方がメンドクサイのか。

えてして、ひとはメンドクサイのを好まない。

わたしはまた、この世の核心に触れてしまったのであった。


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