「50/50」
をギンレイにて。
酒も煙草もやらない陽気な青年アダムは、突然、ガンであることを宣告される。
五年生存率は50%。
会社の同僚や家族や恋人はアダムの病気を気遣い、神経質になってゆく。
そんななか、親友であり悪友であるカイルだけは変わらず陽気に、いや、ガンであることを前向きにとらえて接してきてくれた。
「50%! カジノなら大歓迎の数字じゃないか」 「ガンだといえば、女なんか簡単にナンパできるぜ」
カイルの陽気に笑い飛ばそうとする思いやりも、アダムの症状は次第に深刻化してゆく。
観たかった作品をこうして観られるギンレイは、やはり最高である。
カイルの存在が、いい。 アダムにガンだと打ち明けられたその時こそショックを受け、何と答えたらよいかしどろもどろになってしまった。
が、しかし。
その後は絶えず陽気に、アダムを振り回す。
それが、アダムにとってはありがたい。
皆一様に気を遣い、神経質になり、急に接し方を変えられるのは、余計に疲れる。
しかしカイルは、何も考えずに陽気に振り回していたわけではなかったのである。 酔っぱらったカイルを彼の部屋まで送ったとき、テーブルにあった本に、折り目と線が引いてあったのをアダムは見つける。
素敵だね。
そう深く頷いてしまう。
どちらであっても、そうありたいものである。
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