鳴り止まない電話に思考を吹っ飛ばされ、言動に纏りを欠いた。通過儀礼とも言える30分間、聞えない時は「死ね」と呟く。知らない人の為に知らない人の自由が奪われて、非情緒的に喜んだ。今は安穏とした微温湯だとしても、確実に温度を上げているのを感じる。微温湯が沸騰する前に、僕は飛び出すことが出来るだろうか。『まだ大丈夫』と呪文のように繰り返す。