2006年12月08日(金) |
「彼の菌」 (友鷹) |
友雅さんが、幸鷹さんに、にこにこ近づきます。
「知っている?幸鷹くん」
「…はぁ、何でしょう…」
「一緒に暮らす、恋人は、 互いの表皮常在菌が、 似てくるのだそうだ」
「…ええ、そうですね…。
(…この人は、私が理系と知っていて云うのか?)」
「…つまり、私と鷹通は、 きっと今、同じ種類の、 菌を、持っている。
ふふ、なんだかねぇ… 嬉しいものだねぇ…」
「…… …それは…
おめでとうございます」
「…あぁだけど、このことは、あの子に内緒だよ?
彼に、こうしてノロケたら、恥ずかしがるのでね」
「――。 えぇ…
それは、仰らないほうが、 よいかと思います」
「ふふ、邪魔したね…。
またね、幸鷹くん」
「…あぁ、鷹通くんですか? えぇ、こんばんは。
…あなたの橘さんですが、一度、病院に…
…ええ、お医者に診せるのが、よいかと思います。
頭の中に、おかしな菌が、間違いなく居ます――」
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