先週の金曜日は、もぐちゃんの歯科検診の日だった。 昨年に抜けた上の前歯が2本とも生えてきていないので、次まで に生えてきていなければ開窓しましょうと言われていた。 開窓とは、歯茎を切って出口を作ってあげることらしい。
麻酔液を塗って、横一線に切るのだと思っていた。 その様子を見ていると、麻酔液を塗ってから麻酔薬を注射するよ うだった。 えっ、歯茎に注射は嫌がるんじゃないか、と一瞬思ったが、ここ はずっと見てもらっている歯医者さんに任せておけば大丈夫と、 励ましながら見守った。 少し嫌がりはしたが、歯医者さんのみんなと母とから思いっきり 励まされたり褒められたりしながら、我慢していたようだ。 そして切る段階になって、ただ横一線ではなく、楕円形に切り取 るのだということがわかってきた。 ぐりぐりと押される感覚が嫌なのか、少し身じろぎをしていた。 歯医者さんが、「痛くはないよね。でもぐいぐい押されるのが、 いやな感じだよね。えらいね、がんばってるね。」と声かけして くれる。 自分の気持を歯医者さんに代弁してもらって、もぐちゃんはまた がんばれるのだと思った。
前歯は2本とも開窓した。 長かったように思えるが、ほんの少しの時間である。 肘掛けをぐっとつかんでがんばっている息子の姿に、母の思いを 超えて成長しているのだなと、感激してしまうのだった。
帰り道、よだれが垂れそうでハンカチを口から離すことのできな いもぐちゃんを、歩道の真ん中で2回もギューッとした。 ほんとはもっとずっとギューッてしていたかったが、2回で我慢 した母だった。 次は、2週間後に新しい葉の生え具合をチェックする。 帰宅して、もぐちゃんは偉いぞと、夫に写メールを送った。
そして、今日は母の歯医者さんの日。 母と子は、それぞれ別の歯医者さんなのである。 先月、詰め物がとれて2年近くぶりで、母も歯医者さん通い中だ。 つめるところは終わったが、今日は奥歯の被せものを被せ直しを するために、はずして型をとった。 52歳にもなって、歯医者さんに磨き方のこつを教えてもらった。 なるほど、そうすればオエーッとはならずに上手に磨けるのかと、 目からうろこの助言だった。 来週は、型をはめる。 そのうちに、1本だけ残っている親知らずの抜歯を予定している。 もぐちゃんのがんばりに負けないように、母もがんばって通う。
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