鶴は千年、生活下手

2012年05月19日(土) 母としては

障害の強い21歳の息子さんを持つお母さんと話す機会があった。
自閉症に加えて、知的障害も強いようだった。
最近の悩みは、睡眠サイクルがずれてしまっていることらしい。
夕食後30分位すると眠くなってしまい、そのまま寝てしまうの
で、早朝というより夜中に目を覚ましてお母さんを起こしにくる
のだとか。(2時とか)
お母さんはというと、寝付く時間は普通で起きるのは息子さんと
同じ時間といった具合なのだそうだ。
息子さんが作業所に行っている時間に昼寝をしてはと言ってみた
のだが、やらなければならない家事はやってしまわないと気が済
まないという質だということで、昼寝をする余裕が無いと言う。
お母さんはわたしと同じ50代である。
お母さんが倒れてしまってはと、21歳の息子さんの運動量を増
やす作戦はどうだろうかと、知人達と提案する。
いろいろ大変だなあと思う。

そんなときには思うのだ。
ちゃんと食べて、ちゃんと寝て、元気でいてくれるだけでありが
たいのだと。
それ以上を望む必要は無いのかもしれないと。
義務教育である以上、ちゃんと学校に行って勉強もしてくれれば
なおさらありがたいが。
ただ、親は多くを望みすぎることが多い。
生まれたときは、ただそれだけで幸せだと思ったのに。

 一生に一度抱えし卵あり「生まれる」ことは受動態にて(市屋千鶴)

「生まれる」という受け身の立場から、「生きる」という自発的
なものに転換するとき、そこには存在をしっかりと認めて受け止
めてもらっているという体験が必要なのだろう。
生まれてきてよかったと、この親の子で良かったと、死ぬまでに
言ってもらえれば、母としては最高の幸せなのだと思う。


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市屋千鶴 [MAIL]