鶴は千年、生活下手

2013年01月16日(水) 残雪に

成人の日に雪が降るのは、3、4年ごとのことらしい。
しかし、今回の雪は一気に積もってしまったなという感じだった。
前日の日曜は、ぷらむ短歌会ででかけていたが、翌日の雪を見込
んでスーパーによって買い物をして来ていた。
それなのに、昼頃になんだか買い物に出かけたくなって、雪の中
をよっこらよっこらとコンビニまで出かけていった。
大粒な雪が降りしきっていた
時折、傘をバサバサと揺すって雪を落としながら歩いていくとき、
家々の屋根を見上げて思った。

屋根の雪と空の色の区別がつかないほどの雪空を見るのは、いつ
以来だったろうかと。

こんな大粒な雪、そういえばあのときも降っていたなと思い出す
のは、父と母が別れる話し合いをしているときのことだった。
話し合いの場所に同席させてもらえなかったわたしは、国道の脇
のスーパーの店先に有った、うどんの自動販売機でうどんを買っ
て食べていた。
雪の中で、立ったまま、うどんを食べていた。
田舎では雪のつきにくい防寒具を着ていたので、傘などは持たず
にうどんを食べていた。
冷たい雪と暖かいうどんと、そして居所の無い自分と。
妙な取り合わせだなと思っていた。

次に思い出すのは、祖母の葬式のために帰省したとき、叔母の家
に集まっていた従姉妹たちと、雪の中で紙ゴミを焼いていたこと。
玄関先から、雪の中をもそもそ進んでいって、小さな丸い広場を
作り、そこで紙ゴミを焼くのが普通だった。
ものすごく久しぶりに、従姉妹たちとそれをしていた。
祖母を亡くした悲しみを抱えながらも、みんなでわいわいと、雪
の中へ突き倒したりしながら、30代40代の従姉妹同士が笑い
あった。
きっと、嘆き悲しんでだけいるのでは祖母は喜ばないと、みんな
思っていたから。
もっつもっつと降りしきる雪の中で、泣き笑いした。

いろんなことを思い出しながらコンビニまで行き、大きな袋をぶ
らさげて帰宅すると、うれしそうな顔をしていると夫に言われた。

辛い思い出と直結する雪も、今では笑っていられるようになった。
夫ともぐちゃんのおかげだろう。


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市屋千鶴 [MAIL]