カタルシス
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弟が姉妹都市のインディペンデンス市へ3週間の親善留学に出発した。 16歳以上の学生を対象に参加者の公募をしていたのを母の勧めで申し込んで運良く採用されたラッキーな弟。10人中男子は彼一人というかなり美味しい状態での親善旅行だ。
土曜日だったし、父母とも見送りに行くというので 興味本位でついていくことにした。ただバスを「行ってらっしゃ〜い」と見送れば良いと思っていたので。
ところが、着いてみると役所の一室に通され、丁寧にイスまで据えられている。見ると市の役員が座る席まで用意されていて、どうやら出発式でもする様子がうかがえた。私は思わず「しまった…」と思った。それは隣に立っている父も同じだったようで、夏の暑さをしのごうとサンダル姿で外出したことに後悔をもらした。私とて似たようなもので、気の抜けた普段着姿は周囲のお母様方のフルメイク&外出着の中でいたたまれない状態だ。 母に視線を送れば いつの間にやらそれなりの装いで他のお母様方と談笑の最中だ。 羽織るものを持参で来ていたらしい。メイクは元々しない人なのだが、御手洗ででも済ませてきたのか 薄化粧がすっかり整っている。一緒に車に乗ったときは普段の姿だったのに… 「おかん… (TT;)」父と2人で恨めしくつぶやく他なかった。
市長や役員の話を聞き、学生メンバー10名と同行教師1名の「出発の意」なるものを聞き、演説の度に拍手を送る。ちょっと白々しい気がしたが、状況上いたしかたない。
ってか、何で私ら(wiht 父)ここに居るの?!
現地市民の前で発表するというソーラン節の披露があり、うちの弟は男子一人を見込まれてか 威勢良くかけ声をかける係になっていた。「せぃや!」とか「はっ!」とかってやつ。ははぁ… 目立ってますな。
その発表会が終わったと思ったら「では出発前の子供達と暫しご歓談下さい」だって。何ヨそれ? 普通そんなもん自宅で済ませて来るもんじゃないの?それとも余所の家の子供と語る時間なのか?果てしなく謎!それでもご丁寧に飲み物なんかが用意されていて、誰とはなくに「どうぞどうぞ」ってな雰囲気になる。 何だこの会???
20分ほどで歓談の時間はおひらきになり、やっと本当の出発時刻となった。8時に集合して何やかんやで時間は9時半を回ろうとしている。13時半くらいの飛行機と聞いていたが、東村山から成田まで車で2時間強はある。団体受付が2時間前だとして… 結構ギリギリのスケジュールで動くのね 教育委員会は豪気だ。
専用バスに乗って意気揚々と11人は東村山を後にした。帰国の予定は8/16、約3週間は弟不在ということになる。妹もまだ留学から戻らないので わが家は至って静かなものだ。 見送りも済ませたことだし、夜には明日のライブに合わせて愛知から花緯さんが泊まりに来る約束があったのでサクサク帰宅のつもりでいたら、母の 「このまま立川へ買い物に行きましょう」 という鶴の一声で、何故か車は家とは逆の方向へ… だから、そうならそうと言ってくれっつってんだろ!服適当なんだってばよ!足元も雪駄だっちゅーの!(泣) 楽しようと思って親の車に同乗したのが運の尽きだったようだ。(だって外暑いんだもん…)
立川の駅前まで車を使えば20分弱、母はデパートで商品券が買いたかったらしく車を駐車場に入れ そのまま入店しようとした。が、その場にいたガードマンに制された。 「まだ開店時刻ではありません」 通常デパートは10時開店、その時まだ15分くらいの余裕があった。駐車場は開店の30分前から開いているので車は駐められたが、店自体は営業を始めていないので当然店内へ入ることはできない。15分を駐車場でぼーっとするものナンだと言って母はさっさと屋外へ出てしまう。慌てて後を追う私と父。 駅前のファーストフードでコーヒーを注文し、飲み終える頃には街が動き出していた。
「カニ食べる?カニ。あら、この魚も良いわね!」 食品街で魚介類を吟味してはホイホイとカゴへ入れていく。何やら豪華な選別をしているように思えるのは気のせいなんだろうか? 「随分大量だけど、しばらくA君いないんだよ?」弟の名を出すと、 「いないから良いんじゃないの!」と即座にきり返された。そしてウキウキと物色を続ける母。 …あいつめ、また何か母の神経を逆撫でするようなこと して行ったのか?(--;) 「私だって今夜は花緯さん来るんだからそっち行かないよ」 「あら、花緯さんを家に連れてくれば良いじゃない」 「え。」
「…え?」 その夜、予定の時刻よりも遅めに来た花緯さんはビックリした顔を見せた。そらそうだろう、予定外のことだもの。もちろん無理にとは言わないから、どこか外へ食べに行っても良いし、買ってきて家でも食べても良いのだと伝えたら、 「せっかくだからお邪魔しちゃおうかな」 ってな流れになった。私はむしろ花緯さんのこの判断の方が意外で、何度も「無理しなくていいよ?」と問い返した。前々からの約束ならいざ知らず、突然初対面の人間と食卓を同じくするって 結構緊張すると思うじゃない。でも、本人はそんなことへっちゃら とでも言いたそうに笑っているのだ。 お、大人〜! むちゃむちゃ大人気だわ。
そんな訳で、自宅から歩いて5分程度の距離にある実家へ 花緯さんを連れて行くことになった。激しく人見知りな父も 珍しく普通に対応している。花緯さんは私の帰りが遅そうな時など、荷物を実家宛に送ってくれていたので雰囲気は想像できていたのだと思う。手紙に添えられているイラストを見て「この絵いいな(笑)」と言うこともしばしばあった。好意的な土台ができてたのね。 お酒を飲まない私の代わりに花緯さんは何度か父から盃を受けていて、後半ぐったりしてきてた。昼間普通に仕事をこなして、新幹線と在来線で東村山くんだりまで来てんだからさ、無理させたらいけなかったのにね。すまなんだ…
帰りの道々はゆっくり歩いて夜風に吹かれながら自宅に戻り、翌日に控え さっさと就寝するつもりが、何故か夜更かしをしてしまうという失態を繰り広げるのであった。
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