カタルシス
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2002年10月31日(木) |
10月のカタルシス 〜Katharsis〜 |
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いつものように仕事をしていると いつものように花緯さんからメールが来た いつものように携帯を操作して いつものように笑うはずだった
ブルーム活動休止だってね 号外が届き始めているそうだよ
え…
何ですと?
仕事の隙をついてネットに接続。 ブルームの公式サイトを覗いてみたが まだそんなニュースはUPされていない。 少しだけホッと息をついてみたものの、すぐに気を取り直して掲示板を開いてみる。 するとそこにはパニクったファンの書き込みが既に何連も続いている状態だった。 念のため2ちゃんねる(苦笑)の掲示板もチェックしてみたが…
ああ、本当みたいだな。
それだけ確認すると 思い当たる節の友人数人にメールを送る。 「詳しいことは届き始めているという号外を見なければ何とも言えないけどブルームさん今年いっぱいで活動休止らしいよ」
ひとしきりの送信を済ますと オフィスのキッチンで紅茶を入れてデスクに戻り しばらくゆるゆると一人ティータイムにひたった。特に何を考えるでもなく ぼーっとして紅茶を飲み干した後、やおら仕事に取りかかる。 時計が正午を回る前の段階で携帯はひきりなしにメールを受信していたが、私はデスクに向かって黙々と作業を続けた。立て続けに鳴る着信音を耳にしながら
存外冷静なもんだな〜自分… と他人事のように思った。
午後になって届いたメールに順々返信をする。形ばかりになっている自営ブルームファンサイトの掲示板にも書き込みしてみた。時々公式サイトを確認してみるが やはりまだ重大発表はUPされていない。 うーん、これは早く家に帰って号外とやらを見た方が良さそうだな… 別段仕事が立て込んでいる訳でもないし とっとと帰っちまうかー。
いつもと同じ帰り道 いつもと同じ混み合った電車 いつもと同じ夜の冴え いつもと同じ自宅のポスト
無用な広告の束に埋もれた 一通の封書
…来てる 来てる。
普段の会報は遅配が目立っていた割に こんな知らせの時ばかりきっちり届くんだな。 いや、こんな知らせだからきっちり届けたのか。 いざって時ちゃんとできるんだったら普段でもできるだろ。しろっつの。
号外なので通常の会報とは違った形態の小さなリーフレット。 何の感慨も残さぬような簡素で事務的な印刷物が封筒の中から出てきた。 目を通すと メンバーそれぞれのメッセージが 細かい文字でびっしりと綴られている。
本音と建前で言ったら どう見ても大半以上が建前で埋まっている文字の羅列を 機械的に追いながら 終わりなんて呆気ないもんだ、と鼻が笑った。 こんな区切りの付け方をするくらいなら ここ2年くらいのダメダメ状態から切り捨てるべきだったんじゃないの?ガタが来てるのは目に見えていたけれど 持ち直したくて足掻いてるんだと思ってたよ… つまんねーなー。
ホント つまんない。
メンバー2人のメッセージを読み終えて 一息ついたら 号外を持つ手が小刻みに震えてるのに気が付いた。 あらら、何これ 止まんない… 肘から先だけが感傷にひたっているのか、痙攣しているみたい。
おー… 結構キてるって ことなのかな。
気持ちがついてこないまま 頭だけで自覚する。 それから号外を机に放り、寒い時にそうするように 両手で各々の腕をさすって振るえが止まるまで 続けた。
封筒の中には号外の他にも同封されているものがあった。 何故か厚みのある立派な紙に色のある印刷で 号外本体よりも目立っている。よく見ればクリスマスディナーショーの申込書だ。
あの事務所 本当に馬鹿なのかな。
このタイミングで同封するかよ普通。 少しでも感傷的になった自分が阿呆らしくなるじゃないか。 さっき震えた手の純情を返せ。
しかも3万7千円? …また高くなってるし。 デリカシーとか 心証とかを気にする前に「金」な訳? サイテー。 「今年いっぱいで活動休止ですよ!これが最後かもしれませんよ!多少高くても行くのがファンってもんでしょ?」 って言われているみたいでムカムカきた。 馬鹿にすんのも大概にせいよ。 誰がそんな手に乗ってやるもんか。 そもそも今の彼らにそれだけの価値を感じない
残念ながら 感じない。
もう一度号外のメッセージに目を落とす。 何度見たって書いてあることが変わるわけはないけれど この文字の向こうに見える彼らは お互いに顔を背けているようで 二人が自然に笑い合っていた頃を思い出すと さすがにしんみりしてしまう。 見てるこっちまで笑いたくなるような そんな二人だったのに。
向こう1年間はとりあえずソロ活動なんて 解ってないな。 二人一緒だから光ってたんじゃん。
別所悠二も 松ヶ下宏之も 一人でそんな大層な光を放てる人じゃないって、そんなことは絶頂期にだって解ってたよ。 でも二人が揃うと 1+1=2の単純な加算じゃない 1+1≦∞の光が出せるって思ってた。 どこまで光れるか解らないところが 面白かった。 それなのに バラけるなんて
馬鹿だなぁ… お互いが一番光り合える相手だったはずなのに。
馬鹿だなぁ… “とりあえず”なんて 有り得ないのに。
馬鹿だなぁ… あんた達。
馬鹿だなぁ…
あたし。
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