カタルシス
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2002年11月23日(土)  ファミリー・タイド 

昨日買ったフレームをさっさと店に届けて来ようと思い午前中から外出の用意をしていたら、休みだったらしい父から「昼どうする?(みんなでどっか行くか?の意味)」と電話がかかってきたので、
「行く行く、でもちょっとその前に用事を済ませたいんで…」と事の顛末を説明すると
「車出そうか?」とのご提案。

ええ〜?良いの〜?v (ニヤニヤ)

うまい具合に足を確保できたので ご機嫌なうちに出発!

電車で行こうとすると大回りをして少し面倒くさいことになるその店も、車を使えば自宅から20分とかからない近さだった。マイカー・イズ・グレイト!
近くに停めてもらって「すぐに戻るから」と駆け出して店を目指す私。

店の前まで来ると例の看板娘ちゃんが目ざとく私を見つけ「あ!」と指さす。それから「えーと…」と何かを考える風な仕草を見せて、次に出た言葉は

「何ちゃんだっけ?(苦笑)」

名前忘れたのか!(笑)
それでも私服なのに顔は解ってくれたのだから大したもんだと思い「“これちゃん”だよー」とからかい口調で前を通り過ぎ店に入った。

「おはようございまーす」
何の予告もせずに来たので驚かれるかと思ったら、意外と普通に対応されて苦笑い。
予告しなかったのは余計な仕事を頼まれては困るので、突然行って荷物だけ置いて颯爽と帰ってくるつもりだったからだ。

「レジの調子がおかしいの。見てくれない?」
帰ろうとした私に奥さんが言う。レジのことは社員さんの担当で専門の知識が必要だから、そう言われても私にはどうにもできない。「申し訳ありません専門外なので解らないんです」と伝えると、「そうよねー、Moさんでも解らないことの方が多いもんねー」と社員さんの名前を口にして苦笑した。

え、そうなの?

取りあえず、レジが使えないのでは営業に差し障りがあるので 社員さんの携帯に「お休みのところすみませんが●●さんレジ不調のため連絡下さい」と伝言&メールを残した。
気を取り直して「じゃあこれで…」と言おうとしたら、

「ついでにそのフレーム取り付けてってよv」
ついでって… 自分が持ってきた大きなフレームを見ながら小さく溜息をついた。

一旦外に出て車で待っている父に
「雑用頼まれちゃってもう少しかかりそうなんだ。定期持って来てるから先帰って良いよ、送ってくれてありがとうね。」
置きっ放していた荷物を取り上げながら そう伝えた。
「そうかー… じゃあその辺回りながらもう少し待ってみるから終わったら電話して。」
父のありがたいお言葉に感謝して、作業に戻る私だった。

A2サイズの大きなポスターを3枚 フレームに入れて壁から提げ、A4サイズの写真立てにミニサイズのご利用案内をセットしてカウンターに置いた。フレームは何度も位置の確認をして奥さんの言う通りの場所に固定する。
「こんな感じですかー?」
「…うん、良いんじゃない? 頼んじゃって悪かったわね、これちゃん。」
「いいえー、とんでもないですー。」
「あとはもういいよ。あの車待ってるんじゃないの?」
「え?」
見ると店の外には臙脂のレガシィ… 父の車だ。

「あー… ではお言葉に甘えて失礼させて頂きます。」
手短に挨拶をすませて店を出た。外にいた看板娘ちゃんが「もう帰るのー?」と遊びを中断させて寄ってきた。「これ、これちゃんの車?」とレガシィをペシペシと叩いている。
「そうよー、お仕事終わったんでお家に帰るの。またねミウちゃん♪」
「うん、またね。」
聞き分けが良いのも“可愛い子”の条件だね。握手でバイバイバイってやってから車に乗り込んだ。看板娘のミウちゃんは我々の車が見える間ずっと手を振ってくれていた。

店を後にしながら別れ際の奥さんの言葉のニュアンスを思い出す。多分あれは「彼氏が待ってるわよ〜?」っていう意味で言ってたんだと解ったけれど、車は左向きに停まっていたので運転席は向こう側。父の姿が見えないのを良いことに、そこは敢えてノーコメントで通した。あそこで「父です」っつーのも情けない感じだったし… いや、情けないんだけど実際。もうどうでも良いっていうか。ケ・セラセラで生きるっていうか。放っておいて欲しいっていうか。終わってるっていうか。
そんなとこ。

本家に行くと、さてどこへ行くって話がまだまとまっていなくて 前々からスキーの道具を買い換えたかった父が、その話し合いに加わらず五反田のTOCで開催されている『ウィンタースポーツ用品大特価即売会』なんてものの招待DMに見入っていたので、
突然、あまりにも突然 五反田へ行くことに決定した。
決めたのは母である。

何日か前 母宛に「大崎で個展やります11/23にささやかなオープニングパーティがあります無料なので遊びに来てね」というDMが届いていたのを私は知っていた。なぜなら届けたのは他でもない、この私だったからだ。

その母の知り合いとは私の友人(高校の同級生)の母親のことで、彼女は自宅で創作活動を続けるアーティストである。教職免許を持っているので一時期などは美大の附属中学で講師を務めていたりもしたが、「最近の中坊はナマイキで言うことも聞きやしないからムカつく!だから辞める」と言って本当に実行してしまった豪気な人だったりもする。そして、その娘である私の友人も負けず劣らずの面白い人で 高校を卒業した今でも親しい付き合いが続いているという話。

五反田と大崎は山手線でひと駅の距離、母がその個展のことを考えていない訳がない。

我が家で最も出不精と思われる父がその意見を承諾したので、家族みんなで電車外出と相成った。割と家族で動くことの多い家だが、全員が揃うのはちょっと珍しいことだ。

五反田のTOCでは父がスキー用具を見ている間、ウィンターウェアで遊んでみたり ブランドの型落ち冬物衣料を見たりして過ごした。昼食はその後16時近くなってから、やっとビル上階の中華レストランに落ち着く。
「昼どうする」と聞かれてから随分と時間の経ったことだ(苦笑)

その後、小雨のチラつく中 隣の大崎駅まで歩いて行き、友人の母が開く個展のオープニングパーティにちょっとだけ顔を出したものの、変な時間に食事をした所為で料理に手をつける気にもならず、滅多に歩き回らない距離を動いていたためか 父と弟が帰りたがっている雰囲気を察知したので、程なく母と私は個展の主役に挨拶を述べてその場を辞した。

再び電車に揺られること1時間強、本家に集まった一家は晩酌なり一服(茶)なりで やっとひと心地つけた気がした。

それにしてもこのハードスケジュールは一体…(前半は私が悪い/苦笑)


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