カタルシス
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2004年04月17日(土)  シャングリラ 

友人と有楽町で待ちあわせて 本日より公開の映画『オーシャン・オブ・ファイヤー』の朝一の回を観に行きました 朝一といっても10:25〜上映なんで割と余裕あったんですが(『パイレーツ〜』とか8時だったから…)

19世紀末の灼熱のアラビア砂漠を舞台に 全長3000マイル(約4800km)にも及ぶ過酷なサバイバル・レースに参加した一人のカウボーイ フランク・ホプキンスと その愛馬ヒダルゴの運命を 実話を基に描いた作品 主演は『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのアラゴルン役で人気を博したヴィゴ・モーテンセン 

サバイバル・レースを冒険活劇風に撮ったモノなので 物語がどうこうというものではありませんでしたが 主人公のフランクがネイティブと移住民のハーフで 大陸発見後のアメリカ人がネイティブを迫害する様子を見て 双方の間に生まれた自分の存在意義に悶々とする日々や マスタング(ネイテヴ・アメリカンの小型の雑種)である愛馬のヒダルゴとの対等な信頼関係 そしてレースへの参加を決意した後の凛々しい姿は人間味溢れていて実に魅力的でした 特別ヴィゴのファンな訳ではありませんが 今回のフランク役は『LOtR』でのアラゴルンよりも私的にはヒットなカッコ良さでしたv うひゃひゃ

その他 しきたりに雁字搦めになっているアラビアの高貴な人々や とにかく血筋にこだわる英国夫人 虐げられながらもひたむきに生きているネイティブの生き残りたちや 横柄な移住民軍人など 多種多様な人間模様が それぞれ極端なくらいの個性で描かれていて とても親しめる登場人物たちでした。

アラビア豪族?の当主にオマリー・シャリフ『アラビアのロレンス』にも出演している大御所俳優です ヴィゴは彼の出演を聞き二つ返事でこの仕事を受けたとか
イナゴを食べるシーンでイナゴ型のスナックを渡され「何で本物を食べさせない?」と監督に文句を言ったり 撮影しているうちにすっかりヒダルゴに惚れ込みクランクアップ後買い取ってしまったり(『LOtR』で乗ってた馬もだそうで 今回で3頭目になるので広い厩舎を用意したらしい) やっぱりちょっと普通のハリウッド俳優とは違ってるよなぁと思う そんな彼のセンスには敬意を払いたいです。

パーソナル俳優 ヴィゴ・モーテンセン☆

映画の後は五反田へ移動してD'URBANのファミリーセールをチョロッと覗き その近辺で遅いランチを摂りました 友人2人とはそこで分かれ 私は一人新宿TSUTAYAへ寄り今日までのレンタルDVDを返却します

今日明日でレンタル半額のセールをしているので 何となく見たいものがあれば…と棚を眺め 前々から気になっていた『オスカー・ワイルド』と ベタニー主演の『ギャングスターNo.1』を借りて帰路に就きました。


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その夜『ギャングスターNo.1』を鑑賞〜

裏世界に君臨する55歳のギャングスターが 駆け出しの頃を回想する形式で綴られるモノローグ映画 ベタニーは若かりし日のギャングスターを演じています 文句なしの主演です

当時その世界の花形と謳われていたギャングのボス・フレディの配下に加わった主人公 容姿端麗にして英国紳士の気品と風格を持ち合わせるフレディは ギャング達の尊敬と畏怖の対象であり 主人公にとっても甘美な憧れの偶像となっていた

ギャング達は皆ボスに習い スマートにスーツを着こなし 全てにおいて洗練された身のこなしを義務づけられている ボスの意にそぐわないものは事も無げに切り捨てられる世界で 日に日にのし上がっていく主人公 ボスも頻繁に彼を連れ歩くようになっていく

ある日ボスの行きつけの店で出会った女性店員がボスのお眼鏡にかない 2人は特別な関係になっていく その馴れ初めを全て見ていた主人公の心中は穏やかではなかった いつでも彼女を伴い幸せそうなボスの姿を 少し離れた場所から睨み見る彼 その脳裏には憧れのボスを出し抜く野望が 沸々と湧いてくるのだった…

というような流れで 色々あって主人公はボスを蹴落としてギャング界トップの座を手中に収めるのですが ギャングのすることなので なかなかに殺伐とした内容な訳ですよ 『ロック・ユー!』チョーサー役でのどこか憎めないトリッキーさとは明らかに別種の ダークで破滅的な気狂い感 ちょっとどころでなく怖い笑顔… 顔立ちが端正な分迫力があるし 色素が薄い分表情が読み辛くて 不気味さが際だっています

そして面白いなと思ったのが「名前」なんですが チョイ役の人物にもちゃんと名前がつけられているのに 唯一この主人公には名前がありません 自分から名乗りもしなければ誰からも呼ばれない 闇の世界を牛耳る程のギャングスターでありながら ボスの時のような部下からの「尊敬」や「畏怖」は得られないのです むしろトップの座に固執する余りのえげつないやり方には 陰で「敬遠」「侮蔑」の目を向けられていて どんなに配下が増えていこうとも 彼の孤独は深まるばかり

「名前」がないのは「居場所」がないことを表していたのでしょうか?

唯一の拠り所であった「ボス」という絶対的な存在とのつながりが 魅力的な女性の登場によってそのバランスを失い 果ては崩壊してしまいます
内在する愛憎の均衡「度の過ぎた憧れの末路」を見たような気がしました

55歳のギャングスターを演じるのは『時計じかけのオレンジ』主演のマルコム・マクダウェル
ギャングスター憧れのボス フレディ・メイズにデヴィッド・シューリス とベテラン揃い
1968年前後の古き良き時代の再現にも 一目おける作品だったと思います

ところで

どうでもよいことかも知れませんが フレディ役のデヴィッド・シューリス氏が アラン・リックマン氏と激似だと思っているのは私だけでしょうか?!
アランがもうちっと若くなったら あんなだと思うんですが…

つーか クリソツだってば!マジで

『シャングリラ』電気グルーヴ


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