カタルシス
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2004年05月24日(月)  Heartless 

香港映画『ザ・ミッション/非情の掟』を鑑賞〜

実はこれ 公開当時観に行くか行かないかを考えた作品で そうこうしているうちにアッサリ上映期間が終わってしまったという 自分的には「逃した」感のあったものだった なので にわかに香港熱が再燃し始めてきた今 あの時のリベンジを果たしてやろうと思い立ったと言うわけだ

内容は香港の闇社会に生きる男達の生き様と「掟」について描かれている 例えかたぎに戻っても一度闇の世界に身を置いたことのある者は かつての仲間に助けを求められたらそれに応じなければいけない いつどこでかつての敵に出会うか知れず 命を狙われる可能性は誰にでもある それは自分が助けを求める側になることがあるかも知れないからという暗黙の了解であり かつて闇に生きた男達のケジメとプライドなのだ

表向きは大会社の社長 しかしその実 裏世界に君臨する一大組織のボスでもある男が 何者かによって暗殺を企てられた 間一髪のところで生き逃れたものの このままでは表会社の経営に差しつかえると 今は既に足を洗いかたぎとしての生活を送っている昔の腕利き部下数名に闇の呼び出しをかけた 24時間体制で彼のボディーガードとして殺し屋から守り抜き 暗殺依頼した者を仕留めるまでその任務が解かれることはない そんな招集に応じた以前の部下3名と 腕利きと評判の若手2名の 精鋭5名がボスを守るためにチームを組む

前半は腕自慢の5人がお互い牽制し合いながらも死地を共にくぐり抜ける中で段々と絆を深めていき その堅い結束と息の合った行動でボスを守り抜き暗殺者を片づけるまでの話
そして後半は任を解かれ今や信頼し合った仲間同士となった5人の中に 組織の掟に触れる行為をした者がいることが解り 不本意ながらもその1人を処分しなければならなくなってしまうという展開

掟に触れたといっても仲間を裏切った訳ではなく ちょっとした出来心から小さな間違いを起こしてしまった程度 共に戦い信頼を得た仲間であり兄弟同然に思っている相手を手にかけるには あまりにも稚拙な過ちだった しかし だからといって情をかけて逃せば 残った4人が裏切り者として組織に狙われてしまう
見逃してやりたい思い 逃げ出してしまいたい恐怖心 それぞれが掟を重んじる組織への義理との狭間で思い悩む

「非情の掟」のメインは後半の方にこそある

主演にアンソニー・ウォン(黄秋生) フランシス・ン(呉鎮宇)  ジャッキー・ロイ(呂頌賢)  ロイ・チョン(張耀揚)  ラム・シュー(林雪)  助演にサイモン・ヤム(任達華)

前宣伝的にはフランシス・ンがメインのような描かれ方をしていたが 主役は間違いなくアンソニー・ウォン 絶対! 断言!
シャレじゃなく本当に本気でカッコ良かった 香港映画のクセに こんな真面目でいいのかよ?!くらいにクールでスタイリッシュ 日本の仁侠映画から“笑える極端さ”を引いた感じと言えば伝わるのだろうか 淡々としているのが重厚感を醸し出す 

仁侠映画の「どりゃー」「われぇー!」みたいな怒号は一切なく 徹底された沈黙の中に銃声が時折響くだけ
銃撃戦も最小限に抑えられていて 大げさなカット割りもない そして人が死ぬ瞬間は 驚くほど呆気なく描かれていた

騙されたと思って一度この映画見てみてもらいたい ここ何本かは香港映画に驚かされっぱなしだ 嬉しいような 悔しいような(苦笑)

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2000年/香港映画/81分/シネマスコープ/カラー
製作:ミルキーウェイ・クリエーティブチーム
The Mission 原題:『鎗火』
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第19回香港電影金像奨 
最優秀監督賞
第5回金紫荊奨 
最優秀作品賞/最優秀監督賞
最優秀助演男優賞(ロイ・チョン)
最優秀撮影賞 香港電影評論学会 最優秀作品賞/最優秀監督賞
第37回金馬奨(台湾)
最優秀監督賞 最優秀主演男優賞(フランシス・ン)
2000年ベルリン映画祭フォーラム出品作品
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ところで
常々思っていることなんだが レンタル店の香港映画ブースに「アンソニー・ウォン(黄秋生)」の棚を作ってもらえんもんだろうか 毎回探すのが大変で…(汗)

『Heartless』Godflesh


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