カタルシス
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2004年07月10日(土)  怪人プチオの密かな愉しみ 

昼 日本武道館まで 山本寛斎監督・総指揮のスーパー・ショー『アボルダージュ』を観に行った

初めてこの企画の存在をしったのは5月 明治座の『燃えよ剣』公演で配られた束のチラシの中に紛れていた告知でだった

「アボルダージュ」と見た瞬間に「ああ幕末モノだ」と解ったのだけれど 寛斎が監督・総指揮ってところにちとヒいてしまって その時点では特別興味を持たずに流していたのだった

が 友人が「最前(SS席)をネットオークションで落とした」と 嬉々としているのを見て そんなに人気あんの?と公式ページを見てみたら なるほど 何やら面白そうなことやるみたいじゃん? だったら帰りにでもチケット窓口で余りがあるか訊いてみよう

と 向かった窓口で存外アッサリS席が取れてしまった 最前列じゃなくても全然いいよ 充分充分

2階席の前から3列目でそう遠くもなかったし 遠いかも知れないことを見越してオペラグラスも用意していたので ショーを楽しむには問題なかった というよりむしろ 水を多用してあちこちに飛ばすものだから1階の前2〜3列目くらいまでは覆いのビニールでカバーしていても 足りないくらいにびしょ濡れになっているようだったので その様子を眺めながら黒い笑みを浮かべてしまった

ふ… S席で丁度いいじゃん

そもそもアボルダージュとは何なのか
幕末の乱世も終盤の時期 元号は明治に代わり新政府軍の台頭が日本全土を掌握しようとしていた時代に 最後まで戦った旧幕府軍激戦の舞台の一つ宮古湾
敗戦を重ね徐々に北上し追い詰められていく旧幕府軍は蝦夷に独立国家を樹立させようと新たな目的を見出し 北の大地を目指すものの それ追う新政府軍は新鋭の軍艦を配備して戦力の差は歴然 その窮地を打破しようと考えたのが決死の接舷攻撃だった
当時旧幕府軍の軍事はフランス式 仏海軍用語である「アボルダージュ」はその際に突撃の号令として使用された言葉である

山本寛斎がこの題材を元にショーを企画したのには色々な理由があったのだと思うが 8割方「アボルダージュ関係ないじゃん(苦笑)」という内容だった ただ これを主軸にすることによってインスピレーションを広げたのだということも解ったので 敢えてこの題材なんだろうな とも理解する それでも一般的な感覚で見たら何を表現したものだったのか解りづらかったんじゃないかと… 演出蜷川幸雄だし(見た目に美しいけれど解釈が難解なんだもんこの人の演出…)

水と炎 宙を飛び回る侍 艶やかな着物 見終わっての感想は

オッサンがやりたこと 思いっきりやっちゃった という印象だった(笑)

本人が一番楽しんでたんじゃないかなーと 思ったな いや 思いの外見応えあって私も面白かったっス

『怪人プチオの密かな愉しみ』1990年/フランス


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