カタルシス
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2004年07月18日(日)  氷の国のノイ 

渋谷ル・シネマにて『キッチン・ストーリー』を鑑賞〜

第二次世界大戦後 家政学の専門家たちが 台所の効率化による経済効果に着目し始める
スウェーデンでは家庭調査協会が主婦の台所での習慣を調査して新製品を次々と開発していたが 1950年代初頭 さらに「ノルウェーとフィンランドにおける独身男性の台所での習慣」の調査に乗り出した

調査団の車には1台に1台ずつ寝泊まり用のトレーラーが引かれ その屋根には脚高監視台がくくりつけてある そんな奇妙な様子の車が何台も連なって国境を越え 左側通行のスウェーデンから右側通行のノルウェーに乗り入れて行く 元を辿れば始祖を同じくする民族でありながら 大戦中は中立を保ったスウェーデンと ドイツの占領下にあったノルウェー お互い心中に秘めた微妙なわだかまりのようなものがあるが 表面上は隣国同士 友好的な関係を保っている そんな状況下で始動したこのプロジェクトは果たして成功するのだろうか?

各被験者宅にトレーラーごと乗りつけた調査員は キッチンの一角に脚高な椅子を持ち込み 一日中その上に腰掛けて台所における被験者の行動パターンを観察し記録する といった地味な仕事を24時間体制で行わなければならない しかもこの実験の間 調査員と被験者はいっさい口をきいてはいけないし あらゆる交流を持たないことがルールとされていた 調査員はただ被験者の行動を椅子の上で見ているだけ 許されているのは ただそれだけだ

しかし被験者も調査員も人の子 毎日顔を合わせながら挨拶の一言も交わせないなどという関係が そういつまでも続くわけがなかった…
 
監督・脚本を務めたベント・ハーメルが実際にスウェーデンの家庭調査協会が1950年に発表した「主婦の台所での動線図」に強い印象を受け これをモチーフにストーリーを構築した ノルウェー&スウェーデンの合作映画です 淡々とした展開の割にテンポというか 「間」が良くて思っていたより退屈しませんでした そして予想通りのほのぼの感と滑稽さ(笑)

老齢の被験者と壮年を越そうかという調査員のぎくしゃくした交流の様子が 何とも微笑ましい 徐々に心を通わせるおじさん2人の関係は 被験者の元々の親友が嫉妬してしまうほどに温かく 雪と氷に閉ざされた国境を溶かしていくような穏やかさと強さに満ちあふれています

期待以上のものではありませんでしたが 期待していた分の満足はして帰って来ました 観に行って良かった(笑)

それにしても一番早い時間に行った所為か客が少なくてちょっとビックリ 自分らの前の席ほとんど埋まってませんでした…(^^;)ゞ あはは


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まったくの余談
被験者の元々の親友グラントを演じていた俳優さんを見て「…ノーマンっぽい」と言ったら 一緒に見ていた妹も賛同してくれました 意外!
昨日の今日だったので「誰でもかれでもノーマンに見えるんじゃないの?!」と言われるかと思った(^^;)ゞ ああ でも昨日のマーティンは認めてくれませんでした(苦笑)
グラント ノーマンが歳とったら あんな感じかな〜?なんて

『氷の国のノイ』2003年/アイスランド・ドイツ・イギリス・デンマーク


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