| 逃れられやしない。 |
この恐怖心がもし
もしも遺伝子レベルのものだったとしたら
あたしはどうしたらぃぃんだろう。
DNAに組み込まれているんじゃ、
あたしが滅びるまで消えることはないじゃない。
急におもった。
父親に捨てられた、あたしの父親。
何度となく父親に裏切られ続けたあたしの父親。
愛を感じずに育ったあたしの両親。
あたしは両親を足して二で割ったよう性格で。
それであたしの顔はまったく完全に母親似だけど、
気質はまったく父親そのものだから。
彼、と、あたしの父親は幼少時代に同じような経験をしてた。
父親の父親がいないことは知っていたけど、
でもまさか、あんな事実があったなんて知らなかったから。
偶然とはいえ彼、と、同じだったなんて。
あたしが彼になにかを感じとったのは、それが故だったの?
まさか。
こんなにも愛を求めてしまうあたしは
棄てられることばかりを考えてしまうあたしは
あたし、じゃなくて。
もっともっともっと細かなあたしを造る細胞のひとつひとつ。
頭の中も外も心臓も血液も皮膚も髪も爪も、その総て。
あたしのなにもかもの意思だったの?
嫌だ。怖い。まさか。
あたしの細胞には、『愛』というものが組み込まれていないなんて。
そんな、まさか。
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2006年08月17日(木)
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