「 責めるより守るほうが難しい 」
映画 『 七人の侍 』 より
Defense is more difficult than the attack.
Seven Samurai
村を訪れた侍のリーダー 志村 喬 が、周囲を眺めて呟く一言である。
責める側はタイミングをはかれるが、守る側は常に警戒が必要となる。
概ね、社会保険庁の職員は、自治労、全厚生といった労働組合に加入しており、彼らは民主党の貴重な支持母体となっている。
年金に関連する一連の不手際を、まるで民主党の議員が 「 スクープ 」 でもしたかのように賞賛する御仁もいるが、それはちょっと違うだろう。
身内の不始末といえども、それが 「 対立する自民党を叩く材料 」 になるのであれば、いつでも民主党は現場から情報を集められる環境にあった。
年金問題は、国民の大半に関心があるため、責める民主党にとって、これは格好の起爆剤となり、攻撃目標である自民党の頑強な砦をこじ開けた。
片や自民党は、守る立場にありながら 「 緊張感 」 に乏しく、大臣の不適切な発言や、諸々の不祥事を露呈させ、おざなりな処理で傷口を広げた。
映画 『 七人の侍 』 が、単なる娯楽時代劇としての水準を越えている点は、徹底したリアリズムによって、観客を引き込む脚本の素晴らしさにある。
冒頭の言葉通り、いつ、どこから攻めてくるかわからない武装した40騎の野武士から、たった7人の侍と農民が、村を守るのは至難の技だ。
侍たちは知恵を絞って、防御柵を設置し、壕を掘ったりするのだが、あえて一箇所だけ、意図的に 「 進入しやすい ルート 」 を残しておく。
不思議に思った味方が質問すると、発案者は 「 良い城には必ず “ 隙 ” がある 」 と答え、意味深な微笑を浮かべた。
物語のクライマックス、攻め手の野武士は一気に “ 隙 ” を目指して突入し、待ち構えた少人数の侍たちは、そのおかげで互角に戦えたのである。
もし “ 隙 ” を作っていなければ、どこから野武士が攻めてくるかわからず、広い守備範囲を少人数で守りきることは不可能だったはずだ。
今回の選挙で、自民党に年金問題という “ 隙 ” があったこと自体は、その対策さえ整備していれば、迎え撃つ術が無かったわけでもない。
しかしながら、閣僚の失言や、事務所費問題など、あまりにも “ 隙だらけ ” だったことで、あらゆる防御網が崩壊し、なんとも惨めな落城に至った。
近頃、わずかな失敗でくじけたり、自殺を試みる ヤワ な男が多いご時世で、これだけの苦境に立たされ、投げ出さない安倍総理は “ 侍 ” である。
だが昔から、侍を束ねる “ 将 ” の命運は城と共にあり、ここは潔く退くべきではないかと、世論の反応と同じく私も思う。
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