Tonight 今夜の気分
去るものは追わず、来るものは少し選んで …

2007年09月01日(土) 世界への雪辱



「 俺の望みはただ一つ。 最終ラウンドまで戦いたい 」

                               映画 『 ロッキー 』 より

All I wanna do is go the distance.

                                 From “ Rocky ”



興行的に成功した映画は、続編を制作されることが多い。

ただ、その大半は、第一作目を超える評価が得られない。


冒頭に台詞を紹介した 『 ロッキー ( 1976年 米 ) 』 も、30年間もの歳月を経て第六作まで制作されたが、一作目を上回る作品は見当たらない。

この映画は、社会の底辺でさまよう無名のボクサーが、不可能に近い夢に挑戦し、名声を得る 「 アメリカン・ドリーム 」 が主軸に置かれている。

いかにもアメリカ人の好みそうな題材だが、過去に大量生産された単純な サクセス・ストーリー と一線を画しているのは、主人公の描かれ方だ。

すさんだ生活を送る主人公が、困難に立ち向かうことで、徐々に 「 人間としての誇りを取り戻していく 」 という内面的な成長の記録が、そこにはある。

周囲から 「 勝ち目がない 」 と言われた ロッキー だが、たとえ勝てなくとも最終ラウンドまで戦うことで、自分の誇りを示そうとする姿が感動的だった。


スポーツの世界は結果が求められ、勝つこと、たとえば陸上競技の大舞台では 「 メダル の獲得 」 が責務となり、果たせねば歴史に名を留めない。

それでも、せめて 「 ファイナリスト 」 に残り、決勝に出場したいと願う気持ちは、前述の ロッキー と同じで 「 勝ち負け 」 より 「 誇り 」 の問題である。

世界陸上で不振の続く日本勢だが、「 男子 4×100m リレー 予選 」 は、日本新記録となる好タイムで快走し、見事、明日の決勝に駒を進めた。

しかも、ゴールの瞬間に会場中が沸いた予選タイムは、ジャマイカ、アメリカに次ぐ全体の3位で、十分にメダルも期待できる位置にある。

今夜は、「 男子 400m 」、「 男子 110m ハードル 」 の二種目で、世界新記録の期待が外れただけに、この リレー が最も印象的な試合となった。


同種目では、アテネ五輪でも日本は決勝に進み 4位 に入賞しており、ある程度の期待はしていたが、今夜は、想像を上回る力走を見せてくれた。

各選手らの胸中には、「 日本勢が、なかなかメダルに届かない苛立ち 」 も重圧として迫っていたはずだが、見事に雪辱を晴らす形となった。

好走の要因は精神力だけでなく、各選手の資質と、科学的なトレーニングの成果が大きいが、今夜の観客は彼らに 「 意気 」 を感じたようだ。

スポーツは勝つことを目的とするが、負けてこそ、辛い失敗と苦難を経験してこそ、それを乗り越えて、誇りと意地を示そうとする姿に感動がある。

周囲の見知らぬ観客とも歓喜を分かち合い、久々に大感動の夜だったが、なぜか、『 ロッキー 』 のテーマ曲が頭をよぎる、そんな気分だった。






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