| 2007年09月12日(水) |
安倍首相辞意表明の怪 |
「 人生のコツは、損失を次の人にまわすこと 」
ロバート・フロスト ( 詩人 )
The art of life is passing losses on.
Robert Frost
ずいぶん昔の話だが、成蹊大学出身の女性と交際したことがある。
上品で、物静かな、大人しい感じの小柄な美人だった。
私の大学生時代は、「 学業は程々に、運動は必死に 」 というタイプだったので、他校に対する評価は、まず、運動部の実績による印象が強かった。
その点、成蹊というのは 「 パッとしない学校 」 という先入観があり、友人の中にも出身者がいなかったので、どんな学校なのか興味もなかった。
前述の女性は、初めて交流した同校出身者だったので、彼女や、その友人から話を聞くと、男女とも 「 良家の出 」 が多いという話を耳にした。
少し下世話かもしれないが、たしかに、その女性も 「 25歳で処女 」 だったので ( 私に会うまでは )、良家のお嬢様という感じだった。
以来、成蹊は 「 お嬢さん学校 」 という印象が根付き、関東の友人に確認したところ、やはり、そこそこのお嬢ちゃん、坊ちゃんの学校のようだった。
実際には、アメフト や ラグビー の選手権にも出場しているし、学生全員が弱々しいわけではないけれど、成蹊に、そういった印象を持つ人は多い。
実は、安倍首相も成蹊の出身者であるが、当時、彼の家庭教師をしていた平沢勝栄によると、「 慶応を目指すが、学力不足で成蹊になった 」 らしい。
安倍氏の家系は、父の晋太郎、祖父の安倍寛、岸信介、大叔父にあたる佐藤栄作、家庭教師の平沢まで、すべて周囲が 「 東大出身者 」 なのだ。
これは、東大、早慶などの出身者が多く、学閥による仲間意識の強い政界で、彼が 「 ボンボン 」 と揶揄され、浮いた存在になった一因でもある。
あれほど強い意気込みを示して、次々と法案を成立させたにも関わらず、どこか線の細い印象があったのは、周囲に溶け込めない孤独からか。
参院選に大敗しても、支持率が急落しても、野党、マスコミに叩かれても、総理の座から降りなかった安倍首相が、急遽、辞意を表明した。
所信表明の二日後というのは、「 青天の霹靂 」 というよりも 「 無責任 」 の誹りを受けかねないが、この逆転劇には、どうも不可解な印象が強い。
もっとも自然に考えられるのは、「 健康がすぐれない 」 という理由によるもので、官房長官の談では、激務と健康の両立に苦悩していたらしい。
たしかに、最近は顔色が悪く、少し 「 うつ状態 」 にあるのかなと思われる節もあったが、それならば、退くしか道はないだろう。
首相ほどの激務でなくても、ちょっと叱責されたり、待遇が思い通りでないと 「 うつ 」 になる御仁の多い昨今、あれだけ攻撃されれば不思議は無い。
記者会見の表情を眺めていると、誰の責任かはともかくとして、安倍首相が今日まで 「 相当な無理をしていた 」 のだろうという思いが頭をよぎった。
学校歴が悪いというわけではないが、ボンボン学校の出身者が世間の荒波にもまれて精神を病むという構図が、なんとなく思い浮かんでしまう。
考えてみると、安倍氏自身は政策も的を得ていたし、何も悪いことをしていないのだが、閣僚の不祥事や、不適切な言動に悩まされすぎた。
強いて問題点を挙げるなら、自身の退陣も含めて 「 タイミング 」 の悪さと、首相としての 「 統率力 」 に欠ける部分があったことは否めないだろう。
次は麻生氏の出番となるだろうが、「 次の人にまわる損失 」 をいかに処理し、前任者以上の成果を挙げてくれるか、お手並み拝見である。
|