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2007年10月22日(月) 中国が民主化される条件



「 私は奴隷になりたくないがゆえに、主人にもなりたくない。

  これが、私の民主主義の理念である 」

         エイブラハム・リンカーン ( アメリカ合衆国第16代大統領 )

As I would not be a SLAVE, so I would not be a MASTER.
The expresses my idea of democracy.

                               Abraham Lincoln



国連の加盟国総数は192カ国だが、民主主義国家は約80カ国である。

まだまだ、民主主義が 「 世界の本流 」 とは言い難いようだ。


先ごろ ミャンマー では、大規模な民主化運動デモが起きたが、10年前にも、アウン・サン・スーチー 女史 に率いられた民主化運動の波はあった。

それでも民主化に成功しない理由は、民主主義が 「 富める国の産物 」 という実情に起因しており、彼らの経済的基盤が成熟していないことにある。

戦後、日本にアメリカ式の民主主義を導入するにあたり、当時の外務大臣だった 吉田 茂 は、マッカーサー司令官に、以下の言葉を放った。

「 デモクラシー実現のためには、先ず、国民を食べさせ、国民に職を与え、その生活の安定向上を図ることが肝要なり 」

この言葉は、基本的な生活水準に達していないと、民主化はあくまでも空論でしかないことを示しており、吉田 茂 の見識の高さを物語っている。


いま、中国は大きな転換期にあるが、著しく驚異的な成長を続ける経済の資本主義化と、共産主義という政治理念のギャップが、最大の焦点である。

開放政策により、経済の近代化、資本主義化が進む一方で、政治形態の変革を求める動きには、国家による弾圧的な統制が敷かれている。

先日も、チベット仏教最高指導者 ダライ・ラマ14世 のアメリカでの受勲を祝福する儀式を行おうとした僧侶 約 800人が、警官隊と衝突した。

北京五輪、上海万博の開催を間近に控え、今の中国共産党幹部たちは、中国が将来的に民主化されなくてはならないことを、よくわかっている。

ただ、同時に、海外諸国の歴史から、あまりに時期尚早では 「 民主主義は定着しない 」 という事実についても、よく理解しているのだ。


世界に例をみると、国が豊かになり、個人生活も豊かになってくると、国民は経済の自由化だけで満足できなくなり、政治の民主化も求め始める。

だいたい、国民1人あたりの GDP が 2000ドル を突破する頃に、政治の民主化が起こり、定着していくという傾向にあるようだ。

スペイン では、1936年から40年間近くも フランコ独裁政権 が続いたが、GDP が 2000ドル を突破した 1970年代に、民主化が実現した。

アジア でも、やはり 韓国 や 台湾 が、1人あたりの GDP が 2000ドル を越えた段階で、それぞれ民主化が実現している。

先に述べた ミャンマー は、1人あたりの GDP が 219ドル にすぎず、仮に民主化を実行しても 「 貧しすぎる 」 ため、定着しないのが実情だ。


どの国にも当てはまるが、国内の安定なくして経済成長はなく、いまの中国で政治の民主化をすると、政局が不安定になり、経済成長が挫折する。

2005年の統計によると、中国の1人あたりの GDP は 1740ドル だが、2010年には 2000ドル を大幅に上回るだろうと予測されている。

表面上、アメリカは民主化問題について、中国に圧力をかけているけれど、急激な政変による中国の混乱を望んではいない。

時期尚早に民主化を強行すると、内政の不安定化を招き、「 天安門事件 」 の再現のような事態が起きて、かえって民主化が後退する恐れもある。

実際、天安門事件の直前には、政治の民主化が活発化していたのだが、事件後、政治体制の改革は、完全な タブー となってしまった。


民主化を成功させるのなら、国民を豊かにさせることを優先すると同時に、中国の場合は、厚い 「 中流層 」 を形成する必要がある。

最近、中国へ出張して感じるのは、日本などとは比べ物にならないほどの 「 所得格差 」 の広がりが生じていることで、中流層が厚いとはいえない。

GDP が 2000ドル に近づいているとはいえど、あまりに貧富の差が大きすぎると、まんべんなく豊かさが実感できているとはかぎらないのだ。

この現状では、民主化によって 「 かえって生活が困窮する 」 人々も多く、いますぐ民主化に向かって改革を推し進めると、彼らの不満が爆発する。

日本に住み、中国、ミャンマー の情勢を耳にするだけでは、容易に理解をし難い実情がそこにあり、民主化は重要だが 「 焦りは禁物 」 なのである。






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