Tonight 今夜の気分
去るものは追わず、来るものは少し選んで …

2007年11月11日(日) 偽物を売った 吉兆 の大罪



「 私は偽物が嫌いだ。 見せかけの真実は見たくない 」

        ジョルジオ・アルマーニ ( イタリアのファッション・デザイナー )

I dislike imitations. I do not want to watch the would-be truth.

                                 Giorgio Armani



太る前、体型の合う頃に何点か買ったが、今は袖を通すこともない。

欲しい人に差し上げようかとも思うのだが、なかなか手離せないでいる。


アルマーニ は イタリア を代表する デザイナー で、ジャンフランコ・フェレ、ジャンニ・ベルサーチ と共に、ミラノ の 「 3G 」 と呼ばれている。

最初に アルマーニ を買ったのは、バブル全盛期、猫も杓子も浮かれていた頃、仕事帰りに立ち寄った原宿の ショップ だった。

評判どおり、素材や縫製に目新しさは無かったが、「 型紙の良さ 」 に特徴があって、値段は高いが、それなりの価値を感じさせたものだ。

アパレル はすべてそうだが、「 似合う人が着ないと、真価が発揮できない 」 という要素が強く、長く着続けるには、購入者の努力も必要となる。

今回、銀座に大型店を出したので、また、人気が再加熱するかもしれないが、「 着る人を選ぶ服 」 だということを、予備知識に置いたほうがよい。


冒頭の言葉は有名で、彼の 「 完全主義 」 ぶりの窺える名言だが、たえず価格の高い 「 本物 」 を提供すると、数は売れないが権威は保たれる。

セレブ な人たちには 「 愛用品 」 として親しまれ、私たちのような庶民には 「 たまの贅沢 」 として、憧れと崇拝、品質への信頼を集める効果がある。

あまり興味の無い人にとっては、一着 20万円 の スーツ と、一着 1万円 の スーツ の違いが理解できなかったり、価格に見合う価値を認め難い。

身だしなみの観点からみても、スーツ に投資できる費用が 20万円 なら、高級品の一張羅を ヨレヨレ で着るより、安物を数多く揃えたほうが良い。

高級品が良いか、廉価品が良いかではなく、消費者にとって理想的なのは 「 選択肢がある 」 という環境の問題で、それぞれが必要な存在なのだ。


このところ毎日のように 「 食品偽装問題 」 が報じられ、賞味・消費期限の改ざんや、原材料、産地の偽装などが、次々と暴露されている。

そのなかで、以前、北海道 ミートホープ 社 の社長が、「 価格の安いモノを欲しがる消費者も悪い 」 と、責任転嫁ともとれる暴言を吐いたことがある。

まったく反省の色がなく、とんでもない 「 逆ギレ 」 だが、それは品質表示に偽りがあったからで、そうでなければ、この論理は間違っていない。

表示に偽装さえなければ、高品質なモノは価格が高く、出費を抑えるのなら品質が劣っても我慢せざるを得ないのは、いわば自然の摂理である。

消費者が、商品の 「 価格 」 によって品質の良し悪しを判断する例は珍しくなく、競合他社より価格が高ければ、高品質だと盲信しても無理はない。


大阪市に本店のある 「 船場 吉兆 」 が、原材料の不正表示や、着色料の無記載、賞味・消費期限の改ざんなどで、農水省から調査、摘発を受けた。

当初は、福岡市の 「 吉兆 天神フードパーク店 」 での菓子や惣菜について報じられたが、その後、本店での牛肉、鶏肉の産地偽装も判明した。

関西の 「 グルメ通 」 は、この事件が、いわゆる 「 一連の食品偽装問題 」 とは一線を画していることに気付き、今までにない動揺を感じている。

吉兆 本店 といえば、味も良いが、大阪一 「 値段が高い 」 ことでも知られており、清水の舞台から飛び降りる覚悟がないと、足を踏み入れられない。

私も、そこそこ 「 食通 」 のほうだと思うが、一度だけ、大手企業の社長さんにご相伴しただけで、価格と敷居が高いため、以後は利用していない。


一般的に食品偽装事件は、「 庶民 」 を対象とした商売で起こり、その背景には、熾烈な価格競争による 「 経営の圧迫 」 に原因が集中している。

吉兆 のように、「 セレブリティ 」 と呼ばれる顧客層を対象にした商売では、普通、考えられないことであり、その影響は、計り知れないものがある。

一回の食事を、生命を維持するため 「 食物を摂取する行動 」 とみれば、一杯 500円 の牛丼も、5万円 の懐石料理も、その効果に大差はない。

それをあえて、高いほうに費やすのは、味もさることながら、品質とサービスに対する期待や、食の安全に対する信頼を寄せているためである。

高級料亭 吉兆 の不祥事は、「 本物志向 」 に対する裏切りでもあり、他の高額商品の売上まで影響を及ぼし、関西経済に打撃を与える危険が高い。






↑ エンピツ投票ボタン です。 一度クリックする毎に筆者が踊ります。

My追加


 < PAST  INDEX  NEXT >


Oldsoldier TAKA [MAIL]

My追加