| 2007年11月26日(月) |
ホリプロタレントスカウトキャラバン |
「 マリリン は ダメ な女性だった。 どうしようもなく、ひどかった。
この街では最悪だったね。
マリリン・モンロー ほど ダメ な女性に会ったことがない。
でも スクリーン では、彼女ほど見事な人に会ったことがない 」
ビリー・ワイルダー ( ハリウッドの映画監督 )
Marilyn was mean. Terribly mean. The meanest woman I have ever met around this town. I have never met anybody as mean as Marilyn Monroe or as utterly fabulous on the screen.
Billy Wilder
ビリー・ワイルダー の作品には、いわゆる 「 ハズレ 」 がない。
また、女優の特徴を引き出す術にかけても、天下一品の名監督といえる。
オードリー・ヘップバーン を主演に起用した、『 麗しのサブリナ ( 1954 ) 』、『 昼下がりの情事 ( 1957 ) 』 では、可憐で妖精的な魅力を引き出した。
マリリン・モンロー 主演の二作品 『 七年目の浮気 ( 1955 ) 』、『 お熱いのがお好き ( 1959 ) 』 では、妖艶な性的魅力を存分に アピール している。
全世界を魅了した 「 大女優 」 の二人だが、優秀な映像作家との出会いが無ければ、その地位や名声を得られることも無かっただろう。
スター とは、「 つくられるもの 」 であって、その才能を見出し、磨きをかけ、観客に伝える技術がないかぎり、市井に埋もれたまま凡人で終わる。
おそらくは、彼女たちより輝く美貌や才能を擁しながらも、幸運に恵まれず、陽の目をみなかった 「 原石 」 が、数限りなく存在したはずである。
5万人以上の応募者から、「 第32回 ホリプロタレントスカウトキャラバン 」 の グランプリ に、三重県出身で15歳の 足立 梨花 さんが選ばれた。
アイドル に興味があるわけではない ( あったら気持ち悪い ) が、仕事柄、どうしても 「 当世、人気のある男女 」 を、把握しておく必要があるのだ。
実は、芸能プロダクションや映画会社の主催するオーデションと、そうではない一般的な 「 ミスコン 」 とでは、その審査基準に大きな違いがある。
普通の ミスコン は、審査員の好みやら、当日の顔色などによって優劣が決まりやすいが、興行主が行う場合は、その 「 商業価値 」 を判断される。
つまり、「 一番、可愛い子 」 を選ぶのではなく、「 一番、お金になる子 」 を選ぶわけで、美的感覚よりも 「 マーケティング感覚 」 が、その指針になる。
これからの時代、どのような個性が求められるのか、あるいは、どのような個性を市場に 「 発信 」 していくのか、常に考えている連中がいる。
私なんぞは、そんな 「 仕掛け人 」 ではないが、クライアント の要望に応えたり、彼らに 「 恥 」 をかかせないため、その潮流を掴む必要がある。
そんなわけで、どの子が選ばれたのか観察してみたが、事前の予想通り、これがまったく 「 どこが良いのか、さっぱり理解不能 」 という状況だ。
こういうのは、主観をもって眺めながら理解できるものではなく、制作側の意図や、時代の文化、風俗を見抜くような観察力が求められる。
とりあえず、若手の仕事仲間に助けてもらい、分析を進めているが、そこに何かの 「 キーワード 」 が読み取れるまでには、時間が掛かりそうである。
ちなみに、ミスコン の審査風景で “ ありがち ” なのが、志望動機を尋ねられ、「 姉が勝手に応募したんです 」 と、無邪気に回答する応募者の姿だ。
私が審査員なら、「 じゃあ、参加は不本意なわけですね、棄権しますか? 」 と、「 やる気の無さ 」、「 他人のせいにする姑息さ 」 を追求するだろう。
かといって、「 自分の美貌に自信があります 」 とも言い難いだろうが、そこは、デビュー してからの夢を語るなり、何らかの意気込みを示してほしい。
いくら周囲が演出し、創造していく世界だとはいっても、本人のひたむきさや、真摯な努力なしでは、成功したところでたかがしれている。
まぁ、「 15歳の少女でお金を儲けよう 」 なんて不埒な商売で、説教じみたことを話すのもヘンな理屈だが、せいぜい活躍していただきたいと思う。
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