Tonight 今夜の気分
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2008年04月23日(水) 判決後、死刑囚はどうなるか



「 道を間違えた時に走って、何になるというのだ ? 」

                                      ドイツの諺

What is the use of running when we are not on the right road ?

                                 German proverb



極悪非道な殺人鬼といえども、死刑を宣告するには相応の時間が掛かる。

それが法治国家の良いところでもあり、歯がゆい部分でもある。


昨日、山口県光市の母子殺害事件で、殺人や強姦致死などの罪に問われた元会社員の被告に、死刑が言い渡された。

戦後、最高裁が 2審の無期懲役判決を 「 量刑不当 」 として破棄した例は3件目だが、前の 2件は差し戻し審で死刑が言い渡され、確定している。

前の2例は、4人射殺の 永山 則夫、仮出所中に強盗殺人事件を起こした 西山 省三 で、2例とも差し戻し審判決から死刑確定まで約3年かかった。

今回の判決を不服とし、被告側ならびに弁護団は即日上告したが、最高裁判決がいつになるのかは、いまのところ不明である。

ただ、最高裁としても、「 我々にとって9年は非常に長い 」 と語った遺族の言葉や、世論を重く受け止め、早期に結論を出す必要を感じているだろう。


同じ日、福岡市に住む27歳の専門学校生が、東海道新幹線 「 のぞみ 」 の非常用ドアコックを操作し、走行中の車内から飛び降り、自殺している。

この影響で、東海道新幹線は全線 ( 東京〜新大阪 ) で運転を見合わせ、上下合わせて44本の列車に遅れが発生し、約42000人の足が乱れた。

一人の人間の生命を与奪する重大さについて、検察、弁護士、裁判所が、時間を掛けて慎重に吟味する一方で、あっさり自分の命を絶つ者もいる。 

イギリスでは少し前まで、自殺未遂は 「 犯罪 」 として問われ、たとえ自分の命といえど、むやみに奪う ( 失う ) ことを固く禁じていた。

いくら、国家が死刑罰を慎重に扱ったところで、かたや、野放図に自殺する連中を、ただ眺めているようでは、生命の尊厳を伝えることなど難しい。


ちなみに、警察官には 「 特殊勤務手当て 」 が条例で定められており、たとえば東京都の場合、死体の収容、運搬は、一体当り 1200円 である。

腐乱死体は 2420円、検視または見分に従事すれば、通常で 1370円、それが腐乱死体なら 2740円、解剖に立ち会っても同額が支払われる。

それに対し、刑務官が死刑執行に立ち会った場合の手当ては 20000円 で、同じように死体を扱う仕事でも、ずいぶん大きな違いがある。

もちろん、刑務官の場合は、まだ生きている人間の生命を抹消することに、それぞれの葛藤や、心理的な重圧を強いられるかもしれない。

ただ、死体そのものは原型を留めており、列車自殺などでバラバラになった轢死体を 「 1200円 で運ばされる 」 警察官よりは、マシ な気がする。


刑法11条により、死刑の場所と方法は 「 監獄内において、絞首して執行する 」 ことが定められ、執行に至るまでは監獄に拘置される。

通常の場合、判決が下された囚人は刑務所、判決を未だ受けていない者は拘置所に拘禁されるが、死刑囚は、拘置所の独居房と決まっている。

つまり、死刑が執行されるのは、刑務所じゃなく拘置所で、死刑囚は、まだ罪が確定していない者と同じ屋根の下で “ 最後の日 ” を待つのだ。

日本の現行刑法では、たとえ殺人を犯しても、残虐性、殺害した人数など、複数の条件が揃わなければ死刑に処されず、改悛の道はある。

冒頭の諺が示す通り、道を間違えたら 「 軌道修正 」 するのが本筋で、さらなる犯行を重ねたり、自殺に走るのは、愚の骨頂としか言えない。






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