「 計画を怠ると、失敗を招く 」
エフィー・ジョーンズ ( アメリカの教育者 )
Failing to plan is a plan to fail.
Effie Jones
世界中どこでも、高利貸しというのは、一番 「 卑しい職業 」 とされてきた。
そのため、どこの国でも、なるべく目立たぬように商売を行っている。
ところが、最近の日本では、駅前の一等地に サラ金 の看板が立ち並び、テレビを点けると、朝から晩まで、膨大な量の CM が流されている。
監督官庁からの指導でもあるのか、彼らの CM は、必ずと言っていいほど 「 ご利用は計画的に 」 という文言が含まれており、いつも首を傾げる。
どう考えても、「 計画的な人物は、金利の高いサラ金を利用しないはず 」 であり、たとえ、お金が必要だとしても、何か他の手段を利用するだろう。
あるいは、何かの事情があり、銀行などでお金が借りられない人のため、それが セーフティ・ネット として必要な可能性はあるかもしれない。
しかしながら、サラ金を利用している層は、そうじゃない人たちが大半だし、むしろ 「 サラ金がなければ、借金していなかった人 」 が多いと聞く。
前述の CM でも、お金の使い道は 「 旅行 」、「 デート 」 などのレジャー、「 プレゼント 」、「 ショッピング 」 などの贅沢を想起させるものが中心だ。
食費や住居費や光熱費など、生きていくのに必要な最低限の出費であればともかく、お金も無いのに贅沢しようとは、そもそも発想がおかしい。
子供の頃からの習慣からか、私なんぞは、欲しい品物があったら、お金を貯めてから買うのが普通だと思うし、それまでは我慢してきたものだ。
お金が無くてもモノが買える仕組みは、たしかに便利かもしれないけれど、先送りになった債務について、どうしても意識が薄くなってしまう。
それに、「 なんでも簡単に手に入る 」 ことで、買った品物への愛着心や、物を大切にする姿勢が、損なわれる傾向に繋がっているような気がする。
つまり、資源を大切にするというエコロジーの観点からみても、安易にお金の貸し借りができる制度は、あまり好ましくない。
大手メディアは、省資源の必要性や、財政破綻者の問題を訴えかけながら、片方では終日に亘り、元凶となる サラ金の CM を垂れ流している。
日本人の金銭感覚や、適切な人生設計を狂わせるサラ金会社が、CM で 「 ご利用は計画的に 」 などと語るのは、まことに笑止千万なのである。
サラ金を 「 計画的に利用している人間 」 より、「 利用しない人間 」 のほうが正しいという事実について、一切、それらの広告は触れていない。
若者による言葉の乱れや、教育指導要綱の見直し以前に、日本の良識を取り戻すには、まず、サラ金の広告を規制することが望ましいと思う。
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