Tonight 今夜の気分
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2008年04月27日(日) 聖火リレー : ソウル で投石合戦



「 低開発国では、水を飲むな。 開発国では、空気を吸うな 」

           ジョナサン・レイバン ( イギリスのノンフィクション作家 )

In an underdeveloped country, don't drink the water ;
in a developed country, don't breathe the air.

                                Jonathan Raban



短い文章だが、開発国、低開発国の長短所を、如実に表している。

実際、“ ほとんどの国 ” が、この定義に当てはまっている。


日本人でありながら、自国の不満ばかりを愚痴る人もいるが、この国では水道の蛇口をひねるだけで、およそ清潔な水が手に入る。

煮沸せずに飲んでも、それだけで病気になる危険は低く、豊富な水資源と、浄水技術の高さが、われわれの生活を支えてくれているのだ。

また、ヨーロッパの主要都市に比べれば、人も車も多いために空気は良くないが、それでもアジアの中では、東京の空気ですら マシ なほうだ。

それに引き換え、「 水も、空気も悪い 」 のが、今年のオリンピック開催地の北京で、言うなれば、開発国と、低開発国の短所を、併せ持っている。

これこそが、いまの 「 中国が抱える問題 」 を象徴しているわけで、急速な経済成長の影に隠れた様々な課題が、それぞれに集約されている。


アジアの主要都市における大気汚染の実態調査で、ワースト1位は北京、2位はマニラ、3位ジャカルタ、4位バンコク、5位がクアラルンプールだ。

以下、6位に台北、7位ソウルと続き、東京は8位に入るのだが、実は、7位のソウルと、8位の東京の間には、大きな差異がある。

この調査は、総浮遊粒子状物質、二酸化硫黄、一酸化炭素、二酸化炭素、オゾン、鉛 の6項目、A ( ごく低い ) 〜 E ( 深刻 ) の五段階評価だ。

先に挙げた8都市のうち、東京 だけが全項目 「 A か B 」 で、ソウル は、二酸化炭素の項目で、要注意の 「 C 」 をつけられている。

ちなみに1位の 北京 は、総浮遊粒子状物質 E 、二酸化硫黄 D 、一酸化炭素 D 、二酸化炭素 D 、オゾン C 、鉛 B という調査結果だった。


なぜ、北京は水も空気も悪いのか、理由を正確に解説するには長い文章を必要とするが、簡単にいうと 「 エネルギーと資源の爆食 」 に鍵がある。

3年前の資料で、中国が一年間に消費した石油は、世界全体の8%、鋼材は27%、石炭は31%、セメントは40%以上となっている。

今は、さらに数字が伸びているはずだが、その大部分は北京や上海などの大都市に集中しており、それに見合うだけの環境対策はとられていない。

この数字から 「 中国が1万ドルのGDPを創出する為のエネルギー量 」 を換算すると、インドの1.5倍、アメリカの3.5倍、日本の6.5倍になる。

すなわち、とてつもなく 「 効率が悪い 」 わけで、たしかに開発は進んでいるが、日本に比べると、6倍以上の無駄な資源を燃焼しているのだ。


ちなみに、中国がこの調子で資源を貪り続けると、彼らの持つ石油埋蔵量は14年で、天然ガスは32年で、石炭は98年で使い果たしてしまう。

中国国内に埋蔵されているエネルギー資源が枯渇すると、国外に供給源を求めるしかないが、それを賄えるだけの産出国は、地球上に存在しない。

つまり、この 「 爆食 」 も長くは続かない ( 続けられない ) が、命題である省エネルギー型成長への転換が、大気汚染を和らげるのは先のことだ。

今回のオリンピックでは 「 エコ 」 が一つのキーワードになっているけれど、それは環境対策というよりも、成長に必要な資源の節約が重点課題だ。

先進各国に対し 「 エコ 」 をアピールすることで、省エネルギー技術の導入や、研究開発に関して、協力を要請することが彼らの狙いである。


よほど人権問題に関心が深い人を除くと、「 チベットへの弾圧 」 に多少の嫌悪感を抱きながらも、聖火リレーを阻止しようとする日本人は少ない。

案の定、長野での聖火リレーも無難に行われ、次の韓国へとバトンを渡したわけだが、ここで予想外の投石や、乱闘騒ぎが勃発したという。

ソウルでは、チベット問題だけでなく、中国へ脱北した者の強制送還などを理由に、各種市民団体と、韓国在住の中国人留学生が激突したらしい。

政治的な外交問題は別として、日本と中国の経済交流が順調なのに対し、実は、このところ中国での 「 韓国企業の評判 」 が良くない。

日系企業に比べて賃金が安い、支払いが遅いなどの苦情が多く、そうした経済関係を基に、中国人の 「 反日 」 が薄れ、「 反韓 」 が増えつつある。






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