Tonight 今夜の気分
去るものは追わず、来るものは少し選んで …

2008年05月04日(日) 五月病、軽症うつ の予防、克服法



「 物事について自分の側しか知らない人は、ほとんど何も知らない 」

                ジョン・スチュアート・ミル ( イギリスの哲学者 )

He who knows only his own side of the case, knows little of that.

                                John Stuart Mill



多忙な4月を過ぎ GW に入ったが、今度は遊ぶのに忙しい。

余暇には 「 しっかり遊んでおく 」 ことも、自己管理の一部である。


企業の人事をサポートする仕事柄、特に今の時期は、新入社員の面々が職場に慣れ、新しい生活に馴染むまでの 「 目が離せない期間 」 である。

入社した当初は、やる気満々で張り切っていたのに、連休明けの頃から、体がだるいとか、気分が乗らないとか、不眠に陥る人たちがいる。

いわゆる 『 五月病 』 と呼ばれる症状で、新しい環境への戸惑い、焦りや、それを原因とするストレスが、精神的、肉体的変調となって表出する。

症状だけをみると 「 うつ病 」 に似ているが、ほとんどは一時的なもので、投薬などの必要がない 「 軽症うつ 」 だから、大げさな心配は無用だ。

実際には、連休前の4月時点でストレスに気付く人のほうが、長期の休暇を利用してストレス発散ができるので、五月病を回避しやすいようである。


連休明けに五月病の症状が出た場合は、ゆっくり風呂に入り、睡眠時間をたっぷりとって、友達や先輩などに悩みを聴いてもらうとよいだろう。

趣味やスポーツに打ち込んだり、日々の仕事を工夫し楽しさを見出したり、自分なりのストレス解消法、リラックス法が見つかれば、さらに望ましい。

そういった努力を心がけなくても、大抵は1〜2ヶ月で自然に症状から脱するものだが、夏期休暇を過ぎても改善しなければ、少し注意が必要だ。

特に、内向的な人、友達が少なく孤立しやすい人、過保護に育てられた人、頑固な人、潔癖症な人などは、慢性的な 「 うつ病 」 にも発展しうる。

そんな人は、自分が五月病だと気付いた時点で、先に挙げた改善方法を意図的に取り入れ、心身をリラックスさせる訓練を早期に開始すべきだ。


過去にも書いたが、「 病気であること自体は恥じゃないが、けして、自慢にできることでもない 」 わけで、本人にとってはマイナス面が大きい。

五月病、うつ病ともに症状は人によって様々だが、職場などで周囲に与える影響を考慮すると、患者に 「 治療する責任 」 があることは間違いない。

なかには、病気であることを 「 聖化 」 させて、治療する責任よりも、周囲の 「 配慮する責任 」 を強要する人もいるが、当然、周囲の反感を買う。

ついていけないのなら潔く辞めるか、本人が努力して環境に適応するしか方法はないわけで、「 体調管理も仕事のうち 」 といわれる所以である。

軽症うつの五月病も、重度のうつ病も、本人の 「 気の持ちよう 」 で簡単に治るし、予防できる病気だけに、それで人生を棒に振るのはもったいない。


五月病や、うつ病の場合、見るからに精神病患者という人は少なく、概ね、ほとんどの日常的活動は支障なく行える人が大部分である。

自分は 「 狂人ではない 」 と思っているし、事実、そのようなことはないが、片や、「 何の問題もないなら、精神科の世話にならない 」 のも事実だ。

それを素直に認めて、「 自分は狂人ではないが、少し、考え方には誤りがあるのかもしれない 」 ことに気付く人は、うつ病に陥っても治りが早い。

私の知り合いにも数人いるが、そういうタイプは治りが早く、薬にだけ頼り、治療に専念せず無理をして、イライラを鎮めない人は治りが遅い。

同じ病名でも人それぞれだが、予防や克服のための 「 気の持ちよう 」 とは何か、「 謝った考え方 」 とは何かについては、ほぼ共通している。


その答えだが、冒頭の名言にある 「 自分の側しか知らない 」 という部分に重要なヒントが隠されている。

環境の変化に追いつけず五月病になる人は、“ 自分だけが追いつけない ” と思うから悩むのであり、周囲の苦悩や、焦りに気付いてはいない。

少し深呼吸をして、同僚も、先輩も、あるいは上司にも、“ 自分と同じような経験や、悩みがあったのではないか ” と気付けば、ストレスは半分になる。

自己嫌悪や、逆に自意識の過剰さから、「 自分だけが特別 」 という意識を持つことで、どんどん自分を追い詰め、迷宮に彷徨いこんでしまうのだ。

自分が悩んでいるようなことは、他の人にも経験があり、誰もが失敗を重ねながら自然に克服してきたのだと考えれば、肩の重荷が降りる。


良くも悪くも 「 自分中心の発想 」 は疲れるわけで、自分も社会の一部だという視点で客観視すると、精神的な苦痛から解放されやすい。

自分のことは棚に上げ、社会や他人の批判ばかりする人もいるが、それも 「 自分は特別 」 という意識が働いており、意外と楽な発想ではないのだ。

ごく稀に、“ 特別な悩み ” を抱える人がいたとしても、北朝鮮の強制収容所で暮らす人より不幸かといえば、おそらく、そうではないだろう。

冷静に、客観的に悩みを見つめるほど、それが 「 取るに足らないもの 」 であることが見えてくるはずだし、その特異性にも疑問符がつく。

そんなわけで、「 五月病になった新人 」 を抱える管理職の方々は、ご自分の成功事例より失敗の経験を巧く話し、克服の一助になってもらいたい。






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