Tonight 今夜の気分
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2008年06月15日(日) タバコ 一箱 千円 の時代



「 よく、意思が弱いからタバコをやめられないと言われますが、

  現状では、やめないでいるほうが強い意志を要するでしょう 」

                                小島 功 ( 漫画家 )

They say that you're weak-willed if you can't stop smoking, but with things as they are at present you have to be pretty strong-willed to stay a smoker.

                                   Isao Kozima



タバコをやめてから 3年 になるが、それまでは 20年 ほど吸っていた。

だから、喫煙者に対する批判はしないし、それほど悪い習慣と思わない。


愛煙家の中には、「 “ 禁煙権 ” を認めるが、“ 喫煙権 ” も認めるべきだ 」 と言う人がいて、正々堂々と、タバコを吸う権利を主張されている。

タバコは、本人のみならず、喫煙者の傍らにいる人の健康まで害してしまうと言うが、車の排気ガスだって、けして体に良いものではない。

ただ、車の場合は、排気ガスという有害物質を排出しながらも、移動手段としての利便性を感じる人が多く、それは、非喫煙者にも寄与している。

かたや、タバコの場合は、非喫煙者にとって 「 百害あって一利なし 」 という代物であるために、まったく必要性を感じていない人が多い。

実際、20数年に亘る喫煙習慣をやめた私が、禁煙して何かを失ったかというと、何も思い当たらず、喫煙して 「 得なこと 」 は何もないだろう。


どこまで本気かは不明だが、税収不足を補うために 「 タバコ 一箱 千円 」 という政府案が、水面下で進行しているという。

いきなり 千円 に値上げされたら、これを機会に吸うのをやめる人が増え、結果、税収の拡大は見込めないが、それも、禁煙推進派には好都合だ。

国会議員の喫煙率を知らないが、およそ世間並みだとすれば、価格を吊り上げることに賛成する人の数は、反対する人の数を大きく上回る。

また、禁煙を求める人々が群れになって 「 禁煙運動 」 を起こすのに対し、喫煙派は、それぞれが単独に 「 孤独な抵抗 」 を試みる違いも大きい。

もはや禁煙は 「 世界的なムーブメント 」 であって、いくら喫煙の正当性を主張したところで、喫煙者の比率が増す可能性は皆無に近いだろう。


少数派の愛煙家に対し、ちょっと気の毒に思うのは、元来、政府が専売し、それによって喫煙習慣を覚えたのに、いきなり値上げされるところだ。

体に有害なものを売りつけ、中毒症状にした挙句に、服従させるなどという手口は 「 ヤクザ の専売特許 」 であり、狡猾な手法ともいえる。

しかしながら、国家権力には逆らえないので、「 一箱 千円 」 にするかどうかはともかく、早い時期に、いくらか値上げする法案が通るだろう。

値上げ分は、ほとんど 「 税収 」 になるわけで、それによって売上の減少が免れない販売元の 「 JT ( 日本たばこ産業 ) 」 は、成立に反対している。

昔の 「 専売公社 」 時代と違って、一応は民間企業なのだから、公共性を重視しながらも、売上や利益の低下は避けたいのが本音のはずだ。


今年、中国製冷凍食品の 「 餃子 」 に、毒性濃度の高い農薬が検出されたことで、輸入販売元の JT は消費者の信頼を失い、大きな痛手を被った。

普通なら、当面は中国からの輸入を見送る措置をとるが、一部マスコミがそれを報じた際に、JT 側からは、声を大にして否定する一幕があった。

なぜかというと、JT には、冷凍食品で 「 中国から手を引けない事情 」 があり、中国政府には 「 消極的な印象 」 を与えたくない背景がある。

世界第3位のタバコ売上高を誇る JT だが、2兆円 を超えるタバコ事業に対し、冷凍食品の売上高は、わずか 1000億円 にも満たない。

本業の 「 20分の一 」 に過ぎぬ事業部門で赤字を出したとしても、中国の政府筋に、好印象を与えなければならない使命が、彼らにはあるのだ。


ご存知の通り、禁煙の波は世界中に広がっており、イギリスでは既に一箱が千円以上するし、アメリカでも喫煙者は、文字通り 「 煙たがれて 」 いる。

そんな中で、唯一にして最大の 「 喫煙習慣 」 を維持しているのが中国で、昨今の開放政策により、「 外国タバコの輸入自由化 」 が実現しそうだ。

つまり、JT にとっては、最後にして最大の 「 販売市場 」 であり、下落する一方の国内需要を思えば、中国タバコ市場への参入は企業命題である。

だから、たとえ “ 餃子に毒を盛られても ” 中国政府には逆らえず、彼らのご機嫌を損ねるような態度は、けして見せられないのが実情なのだ。

中国の人口、市場規模を考えると、日本のタバコが 千円 になり、ほとんど吸われなくなっても、輸出が成功すれば 「 十分に補える 」 可能性はある。


とにかく、可哀想なのは 「 日本の喫煙者 」 であって、本当にお気の毒な話なのだが、何事も時流には逆らえないので、諦めてもらうしかない。

禁煙に成功した立場として、私の 「 禁煙した理由 」 と 「 禁煙法 」 を紹介するが、まず、その理由は 「 カッコ悪いと感じたから 」 である。

思い起こせば、吸い始めた理由も、映画で外国人俳優の喫煙する場面を観て 「 カッコ良いと感じたから 」 で、吸うも、吸わないも、それだけだった。

タバコを吸う人の一部に 「 マナーの悪さ 」 や、「 ダサさ 」 が目につき始めたのと、やたら 「 タバコ臭い人 」 がいて、自分のことも不安になった。

そして、私の禁煙法は 「 とにかく吸わないこと 」 であり、“ 特別なこと ” と考えず、大げさにしないで、自然にやめたことが成功の要因だと思う。






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