Tonight 今夜の気分
去るものは追わず、来るものは少し選んで …

2008年06月23日(月) 結局、「 かまってほしかっただけ 」 かよ



「 誰だって友達が欲しい。 肩を組んで一緒に笑いたい 」

                               黒柳 徹子 ( タレント )

Everyone wants a friend. Everyone wants to laugh together with arms around each other's shoulders.

                              Tetsuko Kuroyanagi



先日、新作映画のプロモーションで、ハリソン・フォード が来日した。

66歳にして、今も精力的に仕事をこなしているようだ。


銀幕では、秘宝を探して世界中を旅する “ インディ・ジョーンズ ” を演じている彼に、報道陣の一人が 「 あなた自身の宝物は? 」 と質問した。

すると彼は、ごく自然に 「 家族 と 友達 」 と答え、手を挙げて微笑みながら レッドカーペット を足早に通り過ぎて行った。

私も含め、多くの人々にとって 「 人生の宝物 」 とは、家族や友人の存在であり、彼らの支えがあってこそ、今日の自分があることを知っている。

小学生の頃、学校の先生が 「 人生とは、友達をつくる旅だ 」 と話してくれた記憶もあるが、事実、自分の人生を振り返ると、その通りだったと思う。

普段は照れ臭くて言えないけれど、家族や、友達がいなければ、色の無い景色を眺めているような、そんな味気ない人生だったはずだ。


世間を見渡すと、親が子を殺したり、子が親を殺したり、あるいは兄弟で、友達同士で、お互いを傷つけ、殺し合う事件が後を絶たない。

最も深い愛情や、絆で結びついているはずの家族や、友達を、憎んだり、妬んだりして、正常な神経の持ち主には、理解不能な現象が起きている。

彼らは 「 家族が憎い 」、「 友達など要らない 」 と公言し、良識ある人々は眉をひそめるが、実は 「 愛情 と 憎悪 」 は、紙一重の関係にある。

家族や友達に対して、自分の “ エゴ ” やら “ 甘え ” が通用しなかったり、愛情に応えてくれないと感じると、それを 「 裏切り 」 と解釈する人がいる。

医者からは 「 人格障害 」、一般人からは 「 ひねくれた奴 」 と評価される彼らだが、実は、家族を愛したい、友達が欲しいという欲求を持っている。


秋葉原の連続殺傷事件が起きてから、ネット上の悪質な 「 殺人予告 」 に対する取締りが強化され、連日のように摘発が行われている。

彼らは共通して、逮捕された当初には 「 親が憎い、世間が憎い 」 と動機を述べ、取調べが進むにつれ 「 友達が欲しかった 」 などと弱音を語る。

社会に適応できないジレンマを、親兄弟や世間など “ 他責 ” のせいにし、まるで革命家のような発言をするのだが、反論されると論旨が破綻する。

そして最後には、「 家族にかまってほしかった 」、「 周囲から関心を持ってもらいたかった 」、「 友達が欲しかった 」 と、弱々しい本音を吐露する。

家族に愛されるには、友達をつくるには “ どうすればよいか ” という努力を怠り、身勝手で一方的な親愛を希求する連中が、広く増殖した結果だ。


基本的に、「 殺人予告 」 をする輩も、頻繁に 「 自殺 」 をほのめかす輩も、精神構造は同じで、周囲から 「 かまってもらいたい 」 のである。

目的が 「 殺人 」 とか 「 自殺 」 にあるのなら、予告せず、黙って実行したほうが、明らかに成功率は高いはずだ。

彼らの目的は 「 興味をひくこと 」 であって、犯罪を成し遂げることではないが、誰も興味を示さなかった場合、ひっこみがつかなくなってしまう。

事実、秋葉原事件の犯人も、「 ネットに計画を書き込んだ時点で、誰かに止めて欲しかった 」 と述懐しており、当初から “ 本気 ” ではなかった。

家族を愛せないのも、友達がいないのも 「 お前の性格が悪いせいだ 」 というだけの話なのだが、なんとも迷惑な連中が増えてきたものである。






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