2008年06月26日(木) |
アメリカ が 北朝鮮 の 「 猿芝居 」 に付き合う理由 |
「 人は、目の前にいる友人だけでなく、そうでない友人のことも
忘れるべきではない 」
ディオゲネス・ラエルティオス ( ギリシャの哲学者、歴史学者 )
Men ought to remember those friends who were absent as well as those who were present.
Diogenes Laertius
罪なき同胞の “ かくも長き不在 ” を軽んじる者は、国民の資格がない。
政治家であろうと、民間人であろうと、それは同じことだ。
ブッシュ米大統領は26日、記者会見にて 「 北朝鮮による核申告の提出を受け、“ テロ支援国指定の解除 ” を議会に通告する 」 と発表した。
今後の45日間、北朝鮮による申告検証への協力が認められれば、そこでテロ支援国指定の解除が発効され、様々な “ 圧力 ” が消滅する。
特に、指定が解除されれば、世界銀行などによる融資や経済援助が可能となるため、経済危機にあえぐ北朝鮮としては、千載一遇の好機となる。
北朝鮮を経済的に追い詰め、拉致問題の交渉を有利に運ぼうとする日本にとって、これは間違いなく痛手であり、「 大きな後退 」 となるだろう。
福田 首相 は、拉致問題への影響を否定しているが、どうみても日米間の連携を崩さないための抗弁であって、素直に信用できるものではない。
なんとも残念な決定だが、「 日本政府が裏切った 」 とか、「 アメリカ人は、日本の拉致問題に関心が薄い 」 と決め付けるのは、少し違う気がする。
アメリカに住む友人の談によれば、おそらく、大半の日本人が想像しているよりも、意外と日本の拉致問題は、現地の人々に広く知られている。
事実、上院でも下院でも、北朝鮮へのテロ支援国指定の解除に対し、特に日本の拉致問題を理由として、反対する動きが高まっているらしい。
しかしながら、任期満了まで時間のない ブッシュ 大統領 が、その声に耳を傾ける期待は極めて低く、米朝関係の進展を止めることはできないだろう。
日本政府、閣僚の中に 「 裏切り者 」、「 売国奴 」 は間違いなく存在するが、しかしながら、今回の決定が彼らの暗躍によるものとも考え難い。
では、どうして米国は、日本の国内世論、国民感情を逆撫でし、日米関係を悪化させるリスクを冒してまで、北朝鮮との国交正常化を急いだのか。
まず、北朝鮮との交渉窓口を務める クリストファー・ヒル 国務次官補 が、先の見えない 「 交渉の成果 」 を焦り、結論を急いだ点が考えられる。
以前にも彼は、日本人からみれば容易に納得できぬ “ 虚偽の報告書 ” をまとめ、本国に提出し、強引に制裁解除を進めようとした前科がある。
そして、今回の解除案を ブッシュ 大統領 に進言した ライス 国務長官 は、昔から 「 日本嫌い 」 で知られ、彼女が ヒル に手を貸した可能性が高い。
ブッシュ 大統領 自身は 「 親日派 」 だが、任期が切れる前に、外交上の成果を残したいという思惑があるため、“ 三者の利害 ” が一致した形だ。
つまりは、アメリカの国策というより、北朝鮮との交渉窓口に当たる三者の 「 個人的な理由 」 に、この問題は大きく左右されたという見方が強い。
拉致という重大な人権問題を “ ないがしろ ” にされた怒りは、家族会だけに止まらず、国民全体まで広く浸透し、その矛先は政府に向くだろう。
しかし、拉致問題の解決を棚上げし、ないがしろにしてきたのは 「 今日に始まったこと 」 でなく、今までも、ずっとそうだったわけである。
せっかく中国との関係が良化し、北朝鮮と 「 その気になれば、交渉しやすくなった 」 のに、意気に感じる政治家、官僚がいないのは、残念の極みだ。
ちなみに、「 北朝鮮の手先 」 と異名をとる 山崎 某 氏 あたりは、アメリカに先を越され、手柄をアピールする機会を失したので、悔しがっているらしい。
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