2008年06月29日(日) |
フィレンツェ 大聖堂 に 「 落書き 」 をする日本人 |
「 野球は教会と同じだよ。
やってくる人は多いけど、理解している人間は、ほとんどいない 」
レオ・ドローチャー ( アメリカ大リーグの監督 )
Baseball is like church. Many attend. Few understand.
Leo Durocher
レオ・ドローチャーは、大リーグの監督として通算2008勝を記録している。
太平洋クラブ・ライオンズ ( 現 : 西武 ) の監督就任直前、病気で倒れた。
フィレンツェの世界遺産登録地区にある 「 サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂 」 の壁に、日本語の落書きが多いことが報道されている。
既に判明した 「 京都産業大 」、「 岐阜市立女子短大 」 の学生ら以外に、今度は 「 私立常磐大高 」 の野球部監督が書いた落書きが見つかった。
監督は以前、新婚旅行でイタリアを訪れており、この際に落書きしたことを認めているため、同校は、この監督を解任した模様である。
たかが落書きかと、軽く考える人も多いようだが、間違いなく 「 国宝級 」 の建造物を、傷つけたり、汚したのだから、それは立派な犯罪だ。
特に、学生を教育したり、指導する立場の人間には 「 あるまじき行為 」 であって、本来なら解任どころか、刑事罰の対象に問われる事案である。
4年前、イタリアを旅行した際にフィレンツェも立ち寄り、大聖堂や美術館を巡ったが、世界遺産級の絵画や建造物が意外と無防備なことに驚いた。
手を伸ばせば届きそうなところに、歴史的な巨匠の作品が展示されており、盗むのは無理だとしても、その気になれば “ 落書き ” は可能だろう。
ところが、その大半が キリスト教 に関する 「 宗教芸術 」 であることから、当地を訪れる人々の大部分は、天罰を恐れてか、そういう真似をしない。
私のように信仰心が薄い者でも、あの荘厳な雰囲気の中に立てば、厳粛な気配と歴史の重みに圧倒され、邪な気持ちは消し飛んでしまうものだ。
偉そうに道徳心を説くつもりはないが、あの場に際し “ 記念に落書きでも ” という発想が浮かぶのは、よほど幼い 「 子供 」 だけのように思う。
たとえば皆さんが、自分の子供に日本の歴史や、古来の伝統と文化を体験させようと、京都、奈良などの神社、仏閣を、家族連れで訪ねたとしよう。
そこで、金閣寺や東大寺の壁面が、ハングルや、ロシア語など、子供には見慣れない文字による “ 落書き ” で埋め尽くされていたら、どう感じるか。
悪いのは 「 落書きをした個人 」 だと、頭では理解しているものの、衝動的に 「 くそー、○○人 め 」 と、その民族全体に、怒りの矛先が向きやすい。
それと同じで、このような悪戯を放置すると 「 日本の恥 」 であると同時に、「 日本人の品位、知的水準 」 だけでなく、「 対日感情 」 も貶めてしまう。
この問題は看過せず、外務省を通じて旅行代理店などに呼びかけ、冒頭の名言が示す通り、「 行くからには、そこがどんな場所か 」 を教育すべきだ。
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