2008年07月04日(金) |
不景気な時代を、どう乗り越えるか |
「 状況が タフ になると、タフ な者が道を切り開く 」
ジョン・F・ケネディ ( アメリカ合衆国第35代大統領 )
When the going gets tough, the tough get going.
John F. Kennedy
昨夜は、京都・貴船の 「 川床 」 で涼を楽しんできた。
お相手は、懇意にしていただいている “ ベテラン経営者 ” の方々である。
不定期的に 「 異業種交流会 」 と題し、日頃、親交の深い企業経営者の方々を、ゴルフや会食に誘うようにしている。
参加費は各自の個人負担だが、仲介役の幹事としては、会場の予約やら、なにより、超多忙な皆さんの日程調整に、毎回のことながら一苦労する。
銀行などが主催する会合と違って小規模だが、それゆえに友達感覚で楽しめ、肩の凝らない和やかさが意外と好評らしく、苦労のしがいはある。
少人数だから、お互いに話す機会が多く、ここで知り合って、後日、仕事やプライベートでの親交を深められ、感謝された例も多い。
すべて私の知人なので、密接な利害関係のある人たちや、競合とおぼしき人たちが同時には参加しないように、その点は最も気をつけている。
特に今回は、60代中心の “ ベテラン経営者 ” が大半だったので、開会の挨拶をした後は、ほとんど裏方に回って、酌をしたり、聞き役に徹した。
時節柄、どなたの口からも 「 不景気 」 という言葉が頻繁に発せられたが、特徴的なのは、「 悲観的な話をしているのに、誰もが陽気 」 という点だ。
この世代は、“ ドルショック ” や “ オイルショック ” など、過去に発生した日本経済の危機を乗り越えてきた人々なので、多少のことでは動じない。
終戦直後の貧しさも知っていて、景気も、人生も 「 良いときがあれば、悪いときもある 」 ことを、実体験として学んできた世代なのだろう。
豊かな時代に生まれ、恵まれた環境に育った若者や、周囲から寵愛され、挫折を知らない人々が 「 初めて壁にぶつかる 」 のとは、大きな差がある。
いま 「 どうして景気が悪いのか 」 と尋ねられたら、原油価格の高騰やら、アメリカのサブプライムローン問題などを理由に挙げる人が多いだろう。
それは理論的に間違っていないが、しかし、「 原油価格が低く、サブプライムローン問題がなかったら、景気は順調か 」 というと、はたしてどうか。
たとえば一年前、大半の人々は原油価格の高値や、サブプライムローンによって深刻な影響を受けていなかったはずだが、景気は良かったのか。
つまり、机上論で言うと正しく見える論理だが、それは 「 ただの言い訳 」 に過ぎないのではないかという疑問を、私は感じている。
大不況だとか、好景気だとマスコミは騒ぐが、何もかも 「 世の中のせい 」 にしないで、自分の足元を見つめることが大事なのではないだろうか。
昨年と同じテストを今年も実施する際、昨年の合格点は60点だったけれど、今年は70点になったとしたら、今年は 「 難易度が高い 」 ことになる。
ただ、90点を取れる人にとっては、今年も去年も同じ結果なわけで、40点しか取れない人にとっても、やはり、今年と去年で同じ結果が生じる。
命運が分かれるのは 「 60点〜69点の人 」 と思いがちだが、実際には、「 自分の力と合格点の差 」 を埋める努力をしたかどうかが、分かれ目だ。
景気が悪くなったから困っている、就職・転職が難しい、会社からリストラの対象にされそうだという人は、そこのところをよく反省すべきだろう。
つまり、この種の人が自覚しないといけないのは 「 自分の実力のなさ 」 であり、難易度の上昇を嘆くより、そこでも通用するように精進することだ。
京都に集まった60歳代の経営者を眺めながら改めて感じたのは、彼らがそれぞれ 「 厳しい状況下に適応できるよう精進してきた 」 という事実だ。
けして、時代が良かったから、景気が良かったからだけではなく、度重なる苦境を乗り越えて、精進してきたからこそ、今日の自信に繋がっている。
昔の苦労話を聴くと、彼らも 「 お前には実力がないから、こんな仕事しかできないんだ 」 と言われ続け、歯を食いしばって頑張ってきたという。
仕事がうまくいかない人の大半は “ 自己過大評価 ” が拭えず、「 自分の本当の力を知って、しっかり努力する 」 という心がけが欠けている。
難解な専門用語を駆使して、経済の現況を解説するのもよいが、分析だけでなく 「 タフな時代に、君はどう行動するの 」 という答が必要だろう。
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