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2008年07月05日(土) 映画 『 クライマーズ・ハイ 』 が描く、報道の舞台裏



「 ジャーナリズムは、急ぎ足の文学である 」

                マシュー・アーノルド ( イギリスの詩人、評論家 )

Journalism is the literature in a hurry.

                                 Matthew Arnold



1985年8月12日、史上最大にして最悪の航空機事故が発生した。

映画 『 クライマーズ・ハイ 』 は、新聞記者の視点から描く真実の物語だ。


企画の段階から興味を持っていたので、封切初日に劇場へ足を運んだが、観客席には中高年の姿が多く、それぞれに “ あの日 ” を振り返っている。

13年前の夏、乗客乗員524名、うち生存者4名、死亡者数520名という、未曾有の悲劇 「 日航機墜落事故 」 が、日本中を震撼させた。

この映画は、事故の発生から一週間、地元新聞社の記者が奮闘した姿を中心に、命とは何か、家族の絆とは何かを、観客に問う作品となっている。

大筋は事実に基づく作品なので、事故の概略については周知の事実だが、記者たちが “ あの日 ”、何を考え、どう行動したのかが、初めて描かれた。

一般的に、このような作品の場合、事故の凄惨さや、遺族の悲しみなどに重点を置くものだが、本作では、そこに尺数の比重をかけていない。


それよりも 「 新聞社の内幕 」 に物語の主軸はあり、記者のライバル意識、上層部からの圧力、製作と販売の不調和などが、リアルに描かれている。

正義とか人間性などではなく、野心や功名心を原動力とする記者の姿は、けして美しいものではないが、それだけに強烈な真実味が迫ってくる。

全国を揺るがす大事件が地元で起きたとき、地方新聞の記者は何をするのか、実際の紙面に載るまでには、どんな確執や障壁に遭遇するのか。

どうやって記者たちは、あの険しい 「 御巣鷹山 」 の尾根まで登ったのか、そこで見聞きした情報を、どのような方法で編集部に伝えたのか。

事故そのものよりも、事故報道に携わった人々の苦心を描くことで、本作は “ あの日 ” の記憶を人々の胸に甦らせ、心に残る佳作に仕上がった。


自分より10歳ほど若い彼女と観に行ったのだが、子供心に、当時の事故報道は強く印象に残っていて、途中、涙ぐむ場面も何箇所かあったようだ。

鑑賞後、お茶を飲みつつ “ あの日 ” 何をしていたのか、事故の第一報をどこで知ったのかなど、彼女は色々と尋ねてきた。

思い起こすと “ あの日 ” は、アメリカから帰ってきたばかりの頃で、事故の第一報は、夜の八時頃、テレビの臨時ニュースで観た記憶がある。

もう少し詳細に言うと、合コンで知り合った某女性と、「 短時間滞在可能型宿泊施設 」 において、軽い “ 運動 ” の合間に眺めたのが真実だ。

ただ、自分は新聞記者じゃないし、「 真実を伝えることが、必ずしも望ましい結果を生まない 」 と思うので、その点は曖昧に答えておいた。






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