「 人は、いつも恋をしていなければならない。
それが、結婚をしてはならない理由である 」
オスカー・ワイルド ( イギリスの詩人、劇作家 )
One should always be in love. That is the reason one should never marry.
Oscar Wilde
七夕に降る雨のことを、「 催涙雨 ( さいるいう ) 」 という。
昔の人は、それを “ 織姫と彦星が流す涙 ” に譬えたのだろう。
織姫と彦星は仲の良い夫婦だったが、仲が良すぎて仕事に身を入れないため、神様が二人の間に 「 天の川 」 をつくって、引き離してしまった。
ところが、あまりに悲しくて会いたがるため、年に一度だけ、会える日を設けたのが 7月7日 であるというのが、いわゆる 「 七夕伝説 」 の概要だ。
仲の良いカップルを妬み、「 お前ら、イチャイチャすんなよー 」 てな了見の狭さが神の所業だと教えられたのが、私の無宗教の始まりかもしれない。
まぁ、そこまでは深く考えなくても、“ 愛し合う二人が再会できる日 ” として、普段よりロマンチックな気分で、七夕に想いを馳せる人は多いだろう。
ちなみに、雨が降ると、天の川の水かさが増え、二人が会えなくなるという言い伝えがあるので、てるてる坊主をこしらえて、晴天を祈る人もいる。
なかなか結婚しないでいると、異性に対して 「 優柔不断 」 なのだろうとか、いつまでも 「 選り好み 」 をしているとか、あまり良い風には言われない。
実際は、一人の相手に一途でも、「 適度な距離感 」 が欲しいために、同じ屋根の下に住むのを躊躇するという例もある。
織姫と彦星の如く、ベタベタし過ぎて仕事に支障があっても困るわけだし、交際中には気付かなかった相手の嫌な面が見えるのも悲しい。
結婚前には、お互いの魅力に “ ムラムラ ” した二人が、一緒に暮らし始めた途端に、相手の顔が目に入ると “ ムカムカ ” するなんて話もよく聞く。
もちろん、結婚してからも恋人同士のように、お互いを高めながら暮らしていければ最高だが、そうなる保障はなく、ようするに 「 怖い 」 のである。
明日の七夕から 「 北海道洞爺湖サミット 」 が開かれることに先駆け、福田 首相 と ブッシュ 大統領 による日米首脳会談が行われた。
主要テーマである 「 地球温暖化対策 」 や、原油価格高騰などの経済問題と共に、「 北朝鮮による日本人拉致問題 」 の連携を、話し合った模様だ。
日本を除く参加国が、北朝鮮に対して 「 拉致問題より非核化が優先 」 と考えるのも無理はないけれど、日本は議長国として、実情を訴えてほしい。
拉致被害者家族会の苦悩を思うなら、七夕のように、せめて一目だけでも愛する家族との再会が実現できるよう、政府は全力を尽くすべきだろう。
一年一度の七夕でも切ないのに、数十年も引き裂かれた親子の悲しみは、政治的利害を超越して解決すべき問題だということを、主張すべきである。
日米の関係も、「 恋人同士 」 ぐらいが丁度よくて、「 夫婦 」 にまで発展してしまうと、色々と不都合な現象が起きてしまうものかもしれない。
恋人同士なら、相手に愛されたいと願って様々な贈り物をしたり、お互いの好みに合わそうとしたり、夢を語ったり、ときには、わがままを言い合う。
それが夫婦になると、理想よりも現実的な 「 生活 」 に焦点が置かれ、常に 「 隣近所 」 へ気を遣い、表面的な体裁を繕うことが主体になる。
1960年〜80年代の日本は新興国で、アメリカと 「 恋人同士 」 だったが、今は、なんとなく 「 古女房 」 のようになってしまったような気もする。
お互いに、関係は 「 安定 」 しているが、かつてのような 「 魅力 」 を感じておらず、本音を隠して 「 我慢しながら付き合っている 」 ような気配がある。
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