2008年07月09日(水) |
愛煙家に 「 環境問題 」 を語る資格はあるのか |
「 ニューヨークで赤ちゃんを散歩させるときに困るのは、
赤ちゃんの顔に、まともに排気ガスがかかることです 」
メリル・ストリープ ( 女優 )
The problem with walking a baby in New York City is that the strollers are at exactly the height of the exhausts on the cars.
Meryl Streep
そろそろ夏の暑さが本格化し、海や、プールが恋しい季節になる。
どこに行っても暑いのだが、水に浸かると、なんだか爽快な気分が甦る。
ことわざの 『 大海の一滴 』 とは、広大な場所に、非常に小さな物があるという意味で、英語の 「 A drop in a bucket 」 と同じように使われる。
海や川の水に、一滴の汚濁があったとしても、大量の水の中で希釈され、その毒性、有害性は、極めて低いものとなる。
大気汚染も同じで、地球を取り囲む膨大な空気の中に、少しの有毒ガスが混じったとしても、自然に攪拌され、やがて気にならないレベルに落ち着く。
ただし、水も空気も、地球全体で繋がっているようにみえるが、実際には、限られたエリアを循環しており、集中的な汚濁は、希釈度に限界がある。
また、新鮮な補充を上回る汚濁の排出は、やがて蓄積され、全体の品質を低下させることが明らかで、そうなった状態を 「 環境汚染 」 という。
環境問題に関する討議をメインテーマとした 『 北海道洞爺湖サミット 』 が、予定された3日間の日程を無事に終えて閉幕した。
二酸化炭素 ( CO2 ) など、温室効果ガスの排出量削減の話し合いでは、主要8カ国 ( G8 ) と新興国の間で、意見の相違が出た模様だ。
G8側は、排出増加を続ける新興国の責任を問い、新興国側は、19世紀後半以降、工業化を先に進めてきた先進国の責任を追求している。
こういった、意見の相違というよりも 「 責任のなすり合い 」 に近い確執や、双方の現実的な利害が対立し、具体的な数値目標は合意できなかった。
特に、新興国にとっては、極端な保全対策が 「 経済成長の阻害要因 」 になる恐れも強く、必要性を認めながらも、簡単には合意できないようだ。
冒頭にご紹介した メリル・ストリープ の何気ない言葉からは、「 赤ちゃんの視点からみた環境問題 」 というものを考えさせられる。
有識者は、科学的な統計に裏付けられたマクロの分析を挙げ、政治家は、それを大局的に解決しようとするが、そこには複雑な駆け引きが絡む。
もっと簡単に、「 どうすれば、赤ちゃんの顔から、タバコの煙や、排気ガスを遠ざけられるか 」 といった、身近な対策から手を付けるべきかもしれない。
愛煙家を非難するわけではないが、幼い子供のいる場所で喫煙しながら、空気を清潔に保つ必要性を説いても、説得力が感じられないのは事実だ。
国家的な取り組みや、産業構造の在り方を議論する前に、各々の個人が 「 自ら環境を汚さない 」 ことが、環境対策の第一歩ではないだろうか。
|