Tonight 今夜の気分
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2008年08月03日(日) 資本主義化する中国と、社会主義化する日本



「 社会主義とは、国家がすべてを所有している状態をいう。

  資本主義とは、妻がすべてを所有している状態をいう 」

                                   英語のジョーク

Socialism is when the state owns everything.
Capitalism is when your wife does.

                                   English joke



上海から戻ったが、一段と、暑さは厳しさを増している気がする。

冷えているのは 「 景気 」 だけで、なんとも困ったものだ。


北京五輪による効果もあってか、相変わらず成長の著しい中国経済だが、最近では 「 金融の引き締め 」 などで、倒産に追い込まれる企業も多い。

少し前までは、「 共産党幹部に知人が居る 」 だけで融資を受けられたり、役人に賄賂を渡せば不正が罷り通ったりしたが、状況は変わってきた。

知恵を絞り勤勉に働けば成功し、怠け者は脱落する 「 資本主義の構図 」 は、いまや中国全土の常識となりつつあり、所得格差は広がるばかりだ。

そうした価値観の変化に伴い、現地の富裕層たちは 「 子供の教育 」 への関心が高く、偏差値の高い学校へ通わせようと、躍起になる姿が目に付く。

幼い頃から競争心を植え付けられた彼らが、将来、「 平等 」 を善しとする社会主義思想に回帰する可能性は低く、民主化は時間の問題だろう。


かたや、資本主義国家であるはずの日本では、近頃になり 「 格差社会 」 が問題だとか、やおら 「 平等な社会 」 を理想に唱える声が多い。

生活の向上を目指して、互いに切磋琢磨した時代は過ぎ、いまでは無理をせず、「 頑張らないこと 」 を善しとする風潮が強くなってきている。

もちろん、必死に働いて稼ぐだけが人生ではないし、頑張る人がいる反面、頑張らない人がいてもいいわけで、色々な選択肢があってよいとは思う。

しかし、たとえば 『 ゆとり教育 』 の実施が全体の教育レベルを低下させたように、全体へ 「 頑張らないこと 」 を善しと導くのは マイナス だろう。

統計調査で、日本人の労働意欲が低下していると伝えられるが、原因は、非正規雇用の増加だけでなく、「 頑張らないこと 」 への寛容化にもある。


一昔前の日本人は、職場に多少のストレスがあったとしても、そんなことは 「 ごく当たり前 」 だと考えて、我慢して仕事を続けていたはずだ。

たとえ会社に行くのが嫌でも、自らの意志力でストレスを乗り越えることが普通で、そこに格別な病名をつける必要のある状況には陥らなかった。

それが今日では 「 うつ病 」 などの精神疾患として認められ、会社や学校に行かない理由として、通用するようになってきている。

この現象を、「 現代人はストレス耐性に弱い 」 からだとする学者もいるが、仮にそうだとしても、それは 「 それを認める社会 」 に問題があると思う。

周囲が過保護になればなるほど、本人が自らの意思で奮起をする機会は減少し、いつまでも意欲は上がらず、望ましい結果に繋がらない。


職場で嫌なことがあったり、仕事でストレスを感じるようなことは、おそらく、大部分の人が一度や二度は経験していることだろう。

上司に相談しても、「 仕事に就いた以上、それぐらいは当然 」 と言われるのが オチ なので、普通は諦めて仕事を続けるものだ。

すると、仕事を続けるうちに段々と “ ストレス耐性 ” がついてきて、徐々に大きなストレスにも立ち向かえるような 「 自信 」 が沸いてくる。

これが ビジネスマン にとっての 「 成長 」 なのだが、それには周囲からの 「 情けないなぁ、それでも男かよ 」 という厳しい視線が必要だ。

逆に、ちょっとしたことで甘やかせて、「 大丈夫か、病院に行くか 」 といった過保護な態度では、ますます本人の自助努力を喪失させてしまう。


上海では、「 北京五輪期間中の安全確保 」 を理由に、精神病患者を五輪終了までの間、市内の病院へ強制的に入院させる方針を決めている。

つい先日、精神障害で通院歴がある男が、ナイフで買い物客を切りつけた事件を踏まえた措置だが、日本では考えられない 「 決断 」 だろう。

本来、平等を旨とする社会主義国家が “ 弱者 “ を切り離し、五輪の開催という国家行事を見据え、社会と隔離する政策を打ち出したのである。

精神科の敷居を低くし、会社に行きたくないと申告さえすれば 「 うつ病 」 と認め、安易に “ 病人アイデンティティ ” を与える日本とは、実に対照的だ。

もちろん、「 本当に救いが必要な人 」 も中にはいるだろうが、原点に還り、「 頑張る美学 」 を甦らせないと、資本主義経済の優位性が崩壊する。






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