Tonight 今夜の気分
去るものは追わず、来るものは少し選んで …

2008年08月13日(水) 北朝鮮との交渉に 「 欠けている概念 」



「 態度の弱さは、人柄の弱さとなる 」

        アルバート・アインシュタイン ( ユダヤ系アメリカ人物理学者 )

Weakness of attitude becomes weakness of character.

                                  Albert Einstein



旅行の準備をしつつ、ボチボチと部屋の片付けなどしている。

しばらくは、この日記もお休みする予定だ。


おおよそ日本人は 「 態度が曖昧 」 なことで知られているが、その理由は、あまりにストレートな物言いをして、相手の感情を損ねたくないからだ。

見方によっては独自の美徳とも言えるが、残念ながら、その特異な発想は諸外国にとって難解で、それが善意に評価される場面は少ない。

必要以上に威張ったり、偉そうに振舞う必要はないが、態度が控えめというだけで真意が伝わらず、外交面で損をするようでは、色々と問題がある。

世界的にみると、言葉や態度によって、自分の内面を素直に表現できる人のほうが、遠慮がちな人よりも、好感を持たれやすいのが実情のようだ。

明確に表現されなければ、相手に何も伝わらないのであり、「 黙っていても好意的に察してくれるだろう 」 という願いは、ほとんど期待できない。


中国・瀋陽で開かれた日朝実務者協議で、北朝鮮の代表は、拉致問題の再調査着手に合わせて、日本側が制裁を一部解除するように強く求めた。

そのうえで、「 今回の合意を約束通り履行しないなら、われわれも仕方なく “ 必要な措置 ” を取ることになる 」 と述べ、日本をけん制している。

拉致被害者の速やかな帰国は、たしかに国民の悲願であるが、外務省の発表した 「 一歩前進だ 」 とする会談への評価は、はたしてどうだろうか。

過去の経緯から判断して、まったく信用できない北朝鮮側の 「 再調査 」 が着手されただけの段階で、制裁の一部解除をすることが 「 前進 」 なのか。

拉致被害者の家族たちは、再調査の行方に望みを託しながらも、「 結果を待たずに制裁解除は、拙速ではないか 」 と、複雑な表情を見せている。


北朝鮮による拉致問題で、日本政府の誰もが 「 主権侵害 」 という言葉を口にしないことが、弱腰の交渉につながり、解決を遅らせていると思う。

いかに小型といえど、北朝鮮の工作船は 「 軍に所属する艦船 」 であって、それが日本領土に上陸し、拉致を実行したことは、相手も認めている。

つまり、拉致は 「 テロ行為に類する犯罪 」 でなく、他国に軍隊を上陸させて住民を捕虜にするという主権侵害、つまり 「 戦争行為 」 なのだ。

それを相手も認めているのだから、現在、日本と北朝鮮は 「 戦争状態 」 にあるという前提で物事を考えるべきなのだが、その認識が日本に無い。

拉致被害者の返還を求める理由は、戦争を終結させるには 「 現状回復 」 が国際法上の原則だからだということを、日本は主張しなければならない。


第二次大戦後、日本がアジア諸国に 「 補償 」 を行ったのも、国際法上の 「 原状回復 」 に当たる行為であり、それは歴史上の紛れも無い事実だ。

もちろん、殺戮された生命が、お金で 「 元通り 」 になるわけではないが、軍によって強制的に連行された生存者には、帰郷する自由を与えた。

つまり、日本と北朝鮮は 「 国交正常化交渉 」 をする以前に、戦争を終わらせるための 「 和平交渉 」 をすべきで、拉致解決は必須課題なのだ。

相手が、「 約束を守らないなら “ 必要な措置 ” をとる 」 と言うのならば、日本側も “ 必要な措置 ” で応戦することが妥当だろう。

こんな書き方をすると、「 お前は戦争をしたいのかよ 」 と怒られそうだが、したい、したくないではなく、既に北朝鮮とは 「 戦争状態 」 にあるのだ。


この 「 現在、日本と北朝鮮は戦争状態にある 」 という認識を、北朝鮮側の代表団は持っており、だから、“ 必要な措置 ” をチラつかせてくる。

それに対し、他国の艦船に領土が侵犯されても、国民が連れ去られても、穏やかに交渉を続ける日本政府には、まったく、その意識がないようだ。

アメリカが北朝鮮の 「 テロ国家指定 」 を解除することに不満をぶつける人も多いが、肝心の日本政府が抗戦しないのに、言える筋合いでもない。

北朝鮮に対しては、逆に、「 拉致被害者を返さなければ “ 空爆 ” する 」 と言ってもいいわけで、それは、軟弱な “ 日本国憲法 ” にすら抵触しない。

日本に戦争行為を仕掛け、いまだ元通りに 「 原状回復 」 させていない国と交渉しているのだという意識を、政府担当者は持ち、強く主張すべきだ。






↑ エンピツ投票ボタン です。 一度クリックする毎に筆者が踊ります。

My追加


 < PAST  INDEX  NEXT >


Oldsoldier TAKA [MAIL]

My追加