○プラシーヴォ○
目次|←どうして?|それから?→
会社で仕事をしている時、急に、 「あ、彼の体にさわりたい」 と思った。
彼の筋肉がついた背中を思うと いても立ってもいられなくなった。
それは、セックスがしたいというのではなく・・・ 赤ちゃんがおしゃぶりを欲しがるのに近い気がする。
彼にしがみついて寝たい。 そうすれば、心が落ち着くはず。
ここ数ヶ月、私は苛立っていた。
将来やりたいことが分らない。 なのに容赦無く進む時間。 その二つが、ねじれるように私にからんできて 引きちぎられそうになる。
22時ころ彼が仕事から帰ってきた。
彼の家に先に到着していた私は、ビールを飲みすぎて 体がしびれるほどの眠気に襲われていた。 最近,出社時間が早くなり、私の仕事人生始まって以来の早起きをしている。 だから、22時に(!)寝ることも珍しくない。
彼もそれが分っているので、 「もう、寝なしゃい」 と赤ちゃん言葉で私を寝かしつけようとする。
イヤダ、イヤダ。 あなたにしがみつくために来たのに、 あなたが帰ってきたとたん寝てしまうなんて 意味がない!
「あなたは、まだ寝ないの?」 「うん、もう少しテレビ見る」
私が来ても、一緒に寝転んでくれる価値はないの? 私はテレビのスポーツコーナーに負けたの? 私は、ナニ?
泣けてきた。 泣きながら、一人で寝てしまった。 淋しい。 淋しさ倍増だ。
こなければ、良かったかな。
|