○プラシーヴォ○
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2001年06月02日(土) 天国から地獄へ

デートの行き先は、大抵私が考える。

なのに、
「よし!城崎のマリンワールドに行こう!」
と、何を思ったのかハム男が車の中で宣言した。

大阪から3時間かけて到着。

今は「Sea Zoo(シーズー)」という名前に変わっていた
海のすぐ横に有る水族館で、すっっごく気持ちがいい!
景色が!風が!最高ですぞおお!

水族館の中なのに釣堀があって(笑)
水が透明で魚がよく見えるわあ・・・ってのぞいたら
水が真っ黒に見えるほどの大量の魚!!!

カップルで来てた人がいて、彼女さんが釣り糸を投げ入れたとたん
魚が食いついてきて(笑)二人とも大慌てでバケツ持って騒いでた。
そして、その魚は隣のレストランで調理してくれるらしい。
すばらしいわん。

人も少ないし、ゆっくり見れるし
人ゴミ苦手カップルとしては、うってつけの場所ですわ!

ああ〜、楽しかった。幸せ、幸せ。
が、車で帰路につこうとした瞬間、ハム男がつぶやいた。

「間にあうかな〜、サッカー。」

そう、今日はサッカーの中継がある日だったのだ。

ちょうど御飯時に放送されるので
私が死ぬほど行きたい焼き鳥屋さんに、
また行けないじゃんかああああ!

それでなくても、私はいつもサッカー中継があると機嫌が悪いので、
ハム男がすかさず謝る。(別に謝る必要ないんだけどさ)
「お願い〜!今日は見せて〜!大事な試合やねん!」

返事もせず、私はただ外を見る。
と、車は何かの建物へと向かって走っていた。

「がちゃ子、温泉入ろうぜ!」
「・・・は?サッカー中継に間に合わなくなるよ」
「大丈夫だよ。がちゃ子、お風呂早いもん」

露天風呂に行くと、少し夕焼けの色をおびてきた太陽のせいで
柔らかい緑色になった田んぼと山々が目に飛び込んできた。

気持ちいいぞーーーー!
お肌がチュルチュルだ!
温泉大好きなくせに、体温が低くてのぼせやすい私は、
ハム男の予言どおり、ハム男より早くお風呂から出てしまった。

家につき、ハム男は一目散にテレビの前へ。
私はぶうぶう言いながらベッドにうつぶせになる。
「サッカーが終わったら、焼き鳥屋さん行こうな!」
とハム男は言うが、もうこの時点で21時なんですけど・・・。

結局、出前を取ることになった。
出前がくるまでに、ビールを買ってこようと思った。
そう言って出ていこうとする私に、ハム男は背を向けたまま
サッカーに夢中だった。

どこかで期待していたのだ。
歩いて20分もかかるコンビニに1人で行くなと言ってくれるのを。
じゃあ、俺も一緒に行くと言ってくれるのを。

出前のお好み焼を食べ、二人並んで寝る。
2週間、セックスをしていない。
もう私に性欲を感じなくなってしまったのだろうか。

泣けてきた。

私の要求よりもサッカーが優先されること
セックスもしないのにピルを飲まなくてはいけないこと
そして明日
ハム男自身が私を置いてサッカーの練習に行ってしまうこと

私は声を出さずに泣く。

ハム男がふと私の頬にキスをして、濡れているのに気がついた。
そして目の端にもキスをして、涙がたまっているのを確認する。
「・・・どうしたの?」

私はめったに泣いている理由を言わない。
ハム男も、最近は深く追求しなくなってきた。
ちうちうちう、と私の涙を吸って
自分のパジャマ替わりのTシャツで私の顔を拭く。

そして、
「明日、サッカーに行くのやめよーっと。
がちゃ子とのんびりする日に決定!」
「・・・いいの?」
「うん。なんだか胃が痛くて調子悪いし」

単純に嬉しい気持ちと、
私の卑屈な涙がハム男を引きとめてしまった罪悪感

私の心は、いつ100パーセント満足するのだろう。


がちゃ子 |偽写bbs

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