○プラシーヴォ○
目次|←どうして?|それから?→
いろんな種類の妊娠検査薬。
まるで歯ぶらしのように、 吊り下がって売られている。
ハム男と一緒に、なんとなくそれを見ていると、 作り物のように可愛らしい女性がやってきて、 私達の目の前の検査薬を素早く取った。 そしてレジへと歩いていく。
女性の背中を見つめていると、 ハム男が、急に声を荒げた。
「お金が無いから今は育てられない。 だから堕ろすとか言ってたけど 売ればお金が作れたんじゃないのか!?」 ハム男は怒鳴りながら、私から遠ざかっていく。
私はあわてて聞いた。 「・・・売るって何を?」 ハム男がニヤリと笑った。 「がちゃ子をだよ」
…天井。 ハム男の家の天井が見える。 そして右を見ると、 いつもどおり彫像のように静かにハム男が寝ている。
私は汗グッショリ。 夢だったのか。 私が見る夢は、いつもリアルだ。
痛かったり、熱かったりする時もある。 夢の中が、私の本当にいる世界じゃないかと思う時もある。
ハム男の横で寝ると、悪夢をよく見る。 私が常に感じている不安感が増長されるのだろうか。
それにしてもなんという夢だ。 ハム男が思っていることが 私の脳波に届いたんじゃないだろうな。
ねえ、ハム男?
|