楓蔦黄屋
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風が強い。
花粉症で鼻の奥の炎症がひどくなって 2日ほど寝込んでしまった。 寝込んだら治った。 薬が欲しかったが近所のドラッグストアには売ってなかった。
たぶん副鼻腔炎というやつだ。 花粉症歴は20年と長いがこんなことは初めてだ。
症状は初めてだが理由は極めて明快だ。
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存在もしない架空の人間の人生に想いを馳せる。 自分の経験と想像をディグる。
目的の島がどこにあるか見当もつかない大海原に 身ひとつで泳ぎ出したようだ。
幸い、私には目的地にたどり着かねばという気負いはない。プレッシャーもない。 それがあったら花粉症どころではないだろう。
いやどうだろう。 そんなものあったってなくたってやることは一緒だ。 私はわりとすぐに逃げるだろう。耐えたって得る物などたいしてない。
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話がそれた。
泳ぎ始めるとかえってスッキリしてくる。
島に着こうと着くまいと 気負いがあろうとあるまいと 泳ぎ続けているうちに 息つぎをする自分以外に世界にはなにもなくなる。
ミクロの世界に焦点を合わせて一人きりで遊ぶ。
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10年前の3月11日から、青い鯉のぼりをたくさん空に泳がせている人たちがいる。
鯉のぼりを空の上から見ている子たちがいる。
知ったからには忘れないでいる。 忘れないために鯉のぼりとお金を送る。
これから毎年、鯉のぼりを見るたびに思い出す。
顔も名前も知らない、たくさんの人たちのことを思い出す。
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ますます自分にしか通じない話し方で日記を書く。
楓蔦きなり
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