2002年05月21日(火) |
リバーズ・エンド(上)(下) ノーラ・ロバーツ |
富永和子 訳 扶桑社 (1999) 2000
STORY: 名俳優と名女優の間に生まれた子オリヴィア。彼女の父は麻薬におぼれ、ある日、母親を残虐に殺害し、刑務所に入ることに。オリヴィアはマスコミの好奇の目から逃れるために、祖父母のもとで隔離して育てられる。だが、そこでは母親の話題はタブーであった。オリヴィアを助けた警官一家の息子ノアは、犯罪心理を扱うノンフィクション作家へと成長した。彼はオリヴィアの事件を本にするべくオリヴィアや事件の関係者に近づくが・・・。
感想: ノーラ・ロバーツの本は前に読んだものも面白かったのだけれど、この本も例外ではなかった。かなりのめりこんでしまい、さらに最後のシーンでは感動の涙が・・・。
まずこの本のポイントは、オリヴィアの父親が本当に母親を殺したのかということだ。父親は刑務所に20年もぶちこまれるが最後には脳腫瘍に冒され、余命いくばくもないということで釈放される。実際麻薬におぼれていたため、自分が本当に母親を刺したのかどうなのかを覚えていないのだ。彼が刑務所に入れられたのは幼いオリヴィアの目撃証言のせいで、それ以外彼が犯人だったという決定的な証拠はなかった。しかし、彼は名俳優だったため、無実に見えてもそれが演技ではないかと周りからは思われてしまう。この件に関しては、最後まで彼が本当に刺したのか、それとも別に犯人がいるのか・・・わからないまま話が進む。
そして、もう一つのポイントがオリヴィアの育ち方。オリヴィアは祖父母のもとで育てられるが、母親の事件が耳に入ることを周りが恐れたせいで、子供の頃からTVは見ないし、学校にも行かず、森の中のロッジで育てられる。このロッジは観光名所で様々な人が訪れる。オリヴィアもこの森の中が気に入っており、この森の中の描写などは本当に興味深い。さらに成長したオリヴィアは森のガイドとしてこのロッジを支えることになる。一方のノアも花を育てるのが大好きという、ちょっと男の子としては変わり者な存在。こういう動植物の描写などもかなり面白い。
そして、これはまあどうでもいいっちゃどうでもいいのだが、ノアとオリヴィアの恋愛模様が織り交ざっているわけですね。この本は扶桑社ロマンスというシリーズなので、もしかしたら男の人には受けないんだろうなーと思ったりもする。ということで、結構きわどいシーンもあるのだけど、そんなのがなくても話的に十分面白いし、一体このあとどういう展開を見せるのか、本当に読んでいて目が離せなくなること間違いなしです。
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