感想メモ

2002年06月02日(日) スパイダーマン<ネタバレあり>

サム・ライミ監督 トビー・マグワイア、キルスティン・ダンスト

 かなり人気の作品だけど、見る前はあのスパイダーマンのコスチュームの赤いのが、すっごく不気味であんまり見たくないような気持ちだった。見ようと思ったのは、多分朝日新聞の記事を読んだから。おじさんの死が自分のせいだったことから、正義のために働こうとすると書いてあった。その経緯みたいなものを知りたいと思ったわけだ。

 それにしても冒頭のあたりから私のつぼにはまった。どのシーンもすごく面白くてひきつけられて見た。何と言ってもおじさんとおばさんに育てられているところ、学校ではちょっとダメな(とはいえ、化学の才能はあるらしい)男、好きな子には一言も声を掛けることができず、それでも思い続けている、本当にどこにでもいそうな男なのである。ちょっとスーパーマンに似ているけど、スーパーマンと違うのは、何と言ってもその暗さというのだろうか・・・。一筋縄では行かないところだ。

 たとえば、スーパーマンは誰かを助けただけですぐにヒーロー扱いとなった。が、スパイダーマンは違う。誰かを助けても新聞には悪く書かれてしまう。またスパイダーマンとなるピーターの日常は本当に理不尽なことだらけだ。彼の父母がどういう経緯で亡くなり(?)どうしておじ夫妻の元にいるかはわからないけど、まずそれだってかなり理不尽だと思う。お金を得るためにレスリングを命がけでしても書かれていた金額をもらえないし、強盗におじを殺されるし、自分の好きな人は親友にいつのまにか奪われているし・・・。

 何と言うか本当に最近見た映画の中でなぜか一番泣けてしまったのだ、これが。本当になぜなのかわからないけど、つぼに入ってしまった。今までの映画じゃ涙がにじむことがあってもそのまま意思の力で乾かせた。でも、今回のは違ったね。普通の人はそこまで泣けない映画のような気もするのに。

 泣けたシーンはまずおじさんの死の場面だ。それも言ってはいけない一言を言ってしまったあとのことだった。こういうやり取りをしたあとに人に死なれてしまうというのはかなり苦しいよなーと思う。それから、おばさんが襲われたシーン。ああ、おばさんまで死んじゃうの?と思わされる。おばさんの病床にはおじさんと3人で写した写真が飾られている。そして、卒業式の場面。このときもかなり来た。おじさんに見せてあげたかった・・・という台詞にうう、かわいそうに・・・と思ってしまったのだった。

 でも、その涙が乾かぬうちに場面は毎回のごとく急に変わり、スパイダーマンのアクションシーンなどが繰り広げられる。だから、泣くのが苦手な人でも多分大丈夫だろう。このアクションシーンも私はかなり迫力あったし、すごく面白かった。多分スパイダーマンをよく知らなかったのもあると思う。なるほど、こういう風になるんだ・・・と。

 ま、ということで、アクションあり、ラブロマンスっぽいのあり、勧善懲悪みたいなところもあり、泣かせる場面ありと、かなり盛りだくさんで2時間ちょっと飽きずに楽しめる。かなりお勧めだし、一般受けする映画ではと思う。

 ま、ちょっと突っ込みたいところもないとは言えないけどね。それにしてもやっぱりあの重いバックグラウンドがあるからこそ、スパイダーマンは面白いのかもしれない。これがただのスーパーマンみたいな感じだったら日本人には受けないかも? やっぱり暗いところありつつ、葛藤しつつというところが、日本人にも受けるところなんじゃないかな-と思う。


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