中国歴史小説を書かせたら、日本でこの人をおいて他にはいないでしょう! いつかNHKで、作者の特集をやっていたんだけど、もともとはお勤めをしていて、遅咲きの新人だったらしい。 古代中国の文献を読んでいて、その漢字の研究を趣味にしていて、それが高じて小説を書くようになったということだ。 さもありなん。 しっかりとした文献を下敷きにしているから、2000年も前の中国の物語なのに、すごい現実味を持って迫ってくる。
宮城谷作品というと、2〜3巻におよぶ長編が多いんだけど、この『玉人』は短編集なので、初めての人にぜひお勧めしたいな。 どの作品も、すごく個性的で魅力的で、最初の1ページでぐいぐい引き込まれて、あっという間に読まされてしまう。 全部読んだ後、「どれも似たようなのばかりじゃん」 って、がっかりすることはないと思う。
登場人物は多分すべて歴史上本当に存在した人物。 世界史で習ったような王朝の樹立者から、思想家、史家など、「あ、知ってる!」みたいな発見もあって面白い。 私は以前『晏子』をよんだんだけど、この短編の中に晏子がひょっこり現れた時は、「ああ、なつかしい!」みたいな。 三国志なんかが好きな人にはうってつけなんじゃないかと思いました。(私は読んだことないのが残念)
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